どうなる!『個人保証』 民法改正シンポジウム 中同協主催、日弁連共催

 中小企業の立場から民法改正を考えるシンポジウム「どうなる!『個人保証』」が2月28日、中同協主催、日本弁護士連合会共催で東京で開かれ、会の内外から150人が参加しました。

問われる個人保証のあり方

 現在、法相の諮問機関である法制審議会の民法部会では、契約のルールを定める債権法の大幅な改定作業を行っています。2月26日まとまった中間試案では、中小企業が融資を受けるさい金融機関が保証人を立てることを求める個人保証の規制を表明、関係各方面の議論を呼んでいます。

 シンポジウムは、弁護士・中島龍生氏(東京同友会会員)の司会で開会。中村高明・中同協副会長は創業時の物的担保や連帯保証をとられた自らの体験にもふれ「中小企業家にとり保証は重要な問題。広く論議をおこしていきたい」と開会あいさつ。次いで同部会幹事の早稲田大学・山野目章夫教授が「保証人保護の方策拡充についての民法(債権法)改正の現在と問題点」をテーマに講演。山野目教授は、人々の間に情報力や交渉力の格差がある実態をふまえて、保証人保護の方策を拡充する民法改定の考え方を説明しました。

 パネルディスカッションは弁護士・児玉隆晴氏(東京同友会会員)をコーディネーターに進行。三宅一男・東京同友会政策渉外本部長は、個人保証が大変な重荷となった体験から「生身の人間を借金のカタにとるシステムはおかしい」と発言。

 国吉昌晴・中同協副会長は「金融アセスメント法」制定運動では「貸し手と借り手は対等」と主張してきたことを紹介。日本弁護士連合会消費者問題対策委員会の千綿俊一郎弁護士(福岡同友会会員)は、経営者以外の個人保証(第三者保証)を原則禁止とする日弁連意見の説明がありました。

 会場からは「個人保証が当たり前のこととして通用している。金融機関の貸し手責任も求めるべきだ」などの発言がありました。最後に古仲裕二・東京同友会副代表理事が国民への論議を呼びかける「私たちのアピール」を読み上げ、満場の拍手で確認されました。

私たちのアピール

 私たちは本シンポジウムを通じて、個人保証の制限はじめ民法改正の問題が全ての国民に深く関わるものであり、特に自営業、中小企業の事業活動に多大の影響を及ぼすものである事を確認致しました。我が国の事業所の99%以上を占める圧倒的多数である自営業、中小企業は国民経済の根幹を為す存在であります。今回の改正が、中小企業に潜在する力を弱めるのではなく、それを顕在化し、高めて行く方向に進展することを強く希求いたします。更に100年に1度という全ての国民に深い影響を及ぼす民法改正の推移、特に個人保証の制限をしっかり見守って行く事を国民の皆様に強く呼びかけて本シンポジウムのアピールと致します。

2013年2月28日
中小企業家同友会全国協議会 民法改正を考えるシンポジウム

「中小企業家しんぶん」 2013年 3月 15日号より