Ⅴ 付加価値を高める (3)間接部門(間接業務)サービスの運営

【社員とともにめざす企業像へ変革を~企業変革支援プログラム ステップ2】22

 間接部門の業務改善と聞くとどうしても優先順位は下位になってしまいます。

 目下の課題は売上を上げることが最優先でしょうし、そのためには顧客満足を追求せねばなりません。顧客本位の仕事ぶりができるよう、社員教育にもっと予算と時間をかけなければいけません。お客様との対話を増やし、社員間のコミュニケーションを円滑にすること、笑顔・笑い声あふれる明るい職場にすること。

 どれもこれも優先順位が高くすべてのことに手を付けなければと気がせくことばかりです。

 でも間接部門の業務改善は本当に優先順位が低いのでしょうか?

 間接部門とは総務・経理・人事・企画・品質管理部門などを指します。

 例えば総務部門は営業部門より改善は後回しにしてもよい、そのような優先順位をつけることができる人がいるとするなら、それは自社内の人ではなくお客様しかありません。

 お客様が後回しにしてもかまわないとお話されるなら、その通りなのだと思います。

 ただその状態はもしかして社内に改善事項が多くありすぎるか、相当お客様の改善要求を引き延ばしているため総務部門の問題は後回しにして現在の問題を解決してよ、と話しているのではありませんか。

 お客様はご自分が感じる総合点でその会社を評価されます。その会社のどの部門が悪いということはお客様の関係することではなく、どの部分・どのようなサービスが気に入らないと不満をお話します。

 お客様のクレームを改善するには会社全体の仕組みの改善が必要です。

 営業部門だけの、製造部門だけの改善をお客様は求めていません。お客様は会社全体の総合点で評価されます。

 そのような顧客本位の視点から自社の優先順位を考えてみてください、それでも間接部門の優先順位は低いとお考えでしょうか。

 相当昔の話ですが、お客様で弊社の女性社員を褒めてくださった方がいました。

 その方曰く、「お前さんの会社は同業他社と比べて別に取立てて良いところがあるわけではないが、唯一褒めれるとしたら女性社員の仕事ぶりだ。貴社は女性事務員で持っているようなものだ」そのお客様の優先順位が女性に関して高かったとは決して思いませんが、間接部門を会社の差別化項目に入れておられるお客様は確かにあるに思います。そんな総合点評価をお客様はされているのだろうと思います。

 そのお客様はこうもおっしゃいました。「電話での女性の声を聞いただけで、その会社はどんな会社か容易に想像できる」と。

八嶋合名会社 代表社員八嶋祐太郎(富山)

中同協企業変革支援プログラム検討プロジェクト委員

「中小企業家しんぶん」 2013年 4月 15日号より