中小企業家の声をもとに県が新補助金制度を創設【三重】

全国初 小規模な投資をポイントで累積「マイレージ制度」

 3月6日、三重県で2013年度から新たに導入する「マイレージ制度」による企業補助金制度が発表されました。従来までの大型投資に対する補助金制度を刷新し、企業の小規模な投資をポイントとして累積し、最大5年間の投資累積金額によって補助金の適用を申請できる制度を全国で初めて導入しました。

 三重県ではこれまで企業誘致促進策として、大型投資案件を対象とした補助金制度で大手企業の誘致を行なってきましたが、シャープ亀山工場の問題をめぐり制度のあり方について見直しが図られました。

 三重県経営戦略会議(県政における政策課題に関し、知事が専門的かつ総合的な知見を有する人と意見交換を行うため設置)の中でも取り上げられる中、三重同友会の宮崎由至氏((株)宮崎本店・代表取締役)の問題提起から大手企業の1社の誘致で1000億円の売上拡大を目指すよりも、地域企業1000社が1億円ずつ売上を伸ばす方が地域の雇用拡大や活性化につながることが共通認識化され、政策の実現へとつながりました。

 今回発表された「マイレージ制度」はまさに宮崎氏が会議の中で提案した意見が採用され、実現されたものです。この制度の導入により中小企業のような小規模投資の場合でもポイント累積が5年間に適用基準を満たせば制度が適用となります。また障がい者雇用における法定雇用率を満たすことで対象期間を延長できる補助策も盛り込まれています。

 今回の事例は、中小企業憲章・中小企業振興基本条例推進運動の先を示すひとつのロールモデルとなります。憲章や条例は制定がゴールではなく、その先のビジョンとして、制定を機に地域の活性化とその担い手として中小企業がともに歩む社会づくりの実現を図っていかなければなりません。

 そのため中小企業それぞれに地域経済における役割・責務を果たすとともに地域からあてにされる企業づくりを進め、地域や行政との連携の中で、「しっかりとした情勢認識をもち、大局的な視点から地域に対して政策提言ができる経営者として、地域づくりにコミットしていくことが大切です」(宮崎氏談)。

こうした経営者を1人でも多く輩出することが、地域における同友会の存在意義を高めるとともに同友会理念の実現につながっています。

「中小企業家しんぶん」 2013年 5月 5日号より