中期ビジョン策定が発展のカギ【山梨】

【変革と挑戦―各同友会の実践事例から】29

 各同友会の実践事例を紹介する本シリーズ。今回は山梨同友会の取り組みを紹介します。

 1997年に34名で創立した山梨同友会は今年度で第17期となります。 創立10周年の2007年に177名、今年5月1日時点では295名の会勢です。創立以降、山梨同友会では100名、200名、300名と目標を設定し、会勢を拡大してきました。

 200名規模までは役員のマンパワーで会員増強や例会開催に力を注いできました。特にトップ役員である代表理事の率先垂範で全国同友会に蓄積された経験を取り入れながら、一方では人脈を駆使してマスコミや行政との関係も深めつつ活動を進めてきました。

 300名会勢を達成した2010年4月の総会に合わせ、半年間議論を重ねてきた2015年ビジョンを発表しました。

中小企業運動のセンターとして

 このビジョンは「企業づくり」「地域づくり」「同友会づくり」の3つの柱で構成されています。議論の過程で、「例会は同友会活動の基本だが、例会づくりだけにとらわれていては発展に限界がある」ということが共通の認識となりました。

 特徴としては、1、地域の経営者が気軽に同友会に参加できるよう、新支部を設立していくこと、2、多様な経営課題に専門的に応えられるよう委員会活動(社員教育、経営指針づくり、採用活動)の充実を図ること、3、中小企業振興基本条例の制定を視野に入れ、地域と共に歩む中小企業をめざす取り組みの3点が挙げられます。

 その結果として、2015年度末には会員数500名(組織率5%)の同友会を現実のものにしようと宣言しています。

役員の役割分担も明確に

 単年度方針はビジョンに基づき、提起されます。中期ビジョンがあることで、成果と課題(達成できていないこと)が明確になり、次に挑戦すべき課題の共有が容易になります。

 それに伴い役員の役割分担も進みました。代表理事は主に同友会の顔として対外関係(行政やマスコミ、他団体)に注力し、支部長は各組織を統括。副代表理事は支部(組織)と委員会との調整や行事担当という区分ができあがり、日々の活動をスムーズにしています。同時に、この間脆弱であった事務局機能も強化。就業規則や賃金規定も整備され、会勢に合わせた増員を予定しています。

 全国に目を転じると、秋田同友会が47番目の同友会として誕生(2005年5月)し、すでに310名の会勢に急伸。各同友会の会員数を加算し、47で割ると908名が平均会員数となり、中央値は542名です(5月1日現在)。500名以下の同友会が47%で約半数の中で「500名を達成することは簡単ではないけれど、同友会運動に確信をもって前進していこう」と役員一丸体制を築いています。

 今年度は新支部の発足が決まり、2015年のビジョン完成年には青年経営者全国交流会の甲府での開催が決定しました。会社経営と同じく、同友会活動も中長期の方針をもち、計画で具体化していくことで一歩ずつ前進しています。小規模な同友会だからこそ視野を広く持ち、全国の優れた事例に素直に学ぶ活動が大切です。

「中小企業家しんぶん」 2013年 6月 15日号より