農業データを見ると

 農業データを長期的に見れば、農業総産出額は1984年の11.7兆円から2011年の8.2兆円、農家人口は1960年の606万戸から2010年の253万戸、農業就業人口も1960年の1454万人から2012年の251万人と6分の1に減少しています。

 2012年度の農業・農村白書から農業の担い手について、2012年の年齢階層別の基幹的農業従事者数を見ると、15~19歳1000人、20~29歳2.5万人(構成比1%)、30~39歳5.9万人(同3%)、40~49歳9.8万人(同6%)、50~59歳25.5万人で(同14%)、60~69歳52.5万人で(同30%)、70歳以上81.5万人で(同46%)高齢化社会を先取りしている構造になっています。新規就農は2011年で5万8000人、そのうち39歳以下は1万4200人。そのうちの3割は生計安定せず5年以内に離農、平均1万人が定着しています。このまま10年が経ち若手10万人が増加するとしても、60歳以下は43.5万人から18.3万人+10万人で28.3万人となり、減少が明白です。

 原因は「生活できないから」ということが明白な数字があります。2010年の農業経営体の所得の平均は農業所得122万円、農業外所得162万円、年金等の収入182万円の合計466万円と年金を受け取れる世代でないと食べられないのが現実です。また、2010年の農業所得を営農類型別で平均年齢とあわせて見れば、稲作48万円70歳、路地野菜195万円65歳、施設野菜441万円60歳、果樹172万円66歳、酪農720万円55歳、肉用牛206万円63歳、養豚658万円57歳と、施設野菜でかろうじて生計を保てる収入です(表)。酪農と養豚は生活できる収入ですので60歳以下で続けられる統計になっています。

 農業以外の分野でも共通して、年金収入と合わせて生活できる高齢者の雇用産業と、年金に頼らずに生活できる付加価値産業の両方を地域にどう作っていくのかを示唆するデータです。

 表 営農別農業所得と年齢構成(2010年)

「中小企業家しんぶん」 2013年 7月 25日号より