【中同協 円安進行影響調査(4~6月期DORオプション調査)】87%が予定利益より減少、「ほぼ転嫁」は9%のみ

経営努力に水をさす円安進行

 中同協が実施した円安進行影響調査では、87%で予定利益が減少し、販売価格にほぼ転嫁できているのは9%にとどまりました。

 年初来の円安進行による輸入原材料・部材価格の上昇を受けて、4~6月期同友会景況調査(DOR)で調査対象企業にその影響をたずねました(6月1日~15日実施)。集計結果では、影響がある企業のうち77%で予定利益が減少、10%で赤字となっています(図1)。

 また販売価格に「ほぼ転嫁できている」のは9%にとどまり、「ほとんど転嫁できていない」が59%と多数を占めます(図2)。円安進行による利益圧迫の実態が浮き彫りになりました。リーマン・ショック後、会員企業は懸命に売上・客単価を改善してきましたが、努力が水泡に帰す危険性があります。

図1 円安進行の仕入れ価格上昇への影響ある場合の利益への影響・図2 円安進行の仕入れ価格上昇への影響ある場合の販売価格への転嫁

「円安進行で赤字」は製造業で最多

 特に製造業への影響が深刻です。製造業は今期に大幅改善(△24→△5)を期待していました(DOR1~3月期、業況判断DI次期見通し)が実際にはほぼ横ばい(△24→△22)と大きく期待が裏切られました。今回、円安進行の影響で赤字になったのは製造業が最も多く(表1)、予想を上回る円安進行により製造業の業況改善に大幅なブレーキがかかった形です。

表1 円安進行の影響で赤字になった企業の割合

実体経済の根底は なお厳しい状況

 円安などの影響を受け大企業の景気回復が進んでいると報じられていますが、中小企業の回復は遅れています。DOR業況判断DI(「好転」―「悪化」割合)は今期、△9→△2と水面下で回復の動きはあるものの2012年10~12月期の水準に戻したにすぎません。「アベノミクス」による今後の改善に期待感も存在しますが、実体経済は製造業の低迷に見られるように「自律回復」の入り口に立っているとはいえません。経営環境を一層、注視・警戒することが求められます。

*詳細は4~6月期同友会景況調査速報(中同協ホームページ)をご覧下さい。
https://www.doyu.jp/research/dor/

「中小企業家しんぶん」 2013年 7月 25日号より