自主・民主・連帯の精神を運動のベースに~(株)ヒロハマ 代表取締役会長 広浜 泰久氏(中同協幹事長)

【特集】中同協第45回定時総会―問題提起(同友会づくり)

何のための同友会運動なのか

皆さんに考えてもらいたいことがあります。何のための同友会運動なのか。われわれ同友会の使命とは何かについてです。第十二分科会では「支部の活動は3つの目的を明確にしている。そして同友会のための同友会運動はしない」とまとめています。何のための同友会なのかを考えたとき、ひとつは強じんな企業づくり、もうひとつが地域づくり、この2つの使命のために同友会運動をやっていると私は思います。

理由のひとつは同友会理念です。特に企業づくりについては3つの目的の総合実践をしていること、また地域づくりについては「国民が地域とともに歩む中小企業」が私たちの活動のベースになっていると思います。第13分科会のまとめに「良い会社が地域で増えるとは、幸せな社員が増えるということ。幸せな社員が多い地域は間違いなく良い地域に違いない」とありました。同友会はこうした企業づくりと地域づくりを行えるのではないでしょうか。

われわれの使命とは何か

同友会の使命が具体的に現れたのは被災地のみなさんの動きです。実際に復興に当たって同友会のメンバーがたくさんいる地域といない地域では復興のスピードが全然違いました。さらに廃業などの割合も、同友会の企業は極めて少ない。こうした事実があります。福島同友会相双地区の状況をまとめた記録集『逆境に立ち向かう企業家たち』からは地域を守る使命感を感じます。

もうひとつは憲章と条例のかかわりです。26の道府県で条例ができ、その多くに同友会がかかわっているのです。同友会が関わったことで、各県で制定の運びになったと自信を持っていいのではないかと思います。強じんな企業づくりと地域づくりを使命として行うわれわれこそがこの運動をできるのだと思います。

また、第1分科会で二場邦彦教授から報告がありましたが、行政の方も地域づくりに取り組んでいます。では、行政の方々が企業に一番求めるものは何か。それは先進的な成功事例です。そのためにもわれわれが行政と関わり、どんどん地域づくりを前に進められる形に変えていく。このように同友会理念をベースとしてわれわれの使命が見えてきます。

同友会の使命を果たす上で何が必要か

同友会づくりの問題提起として、こうした使命を果たす上での同友会づくりに何が必要なのかを問い続けてほしい。各同友会で、われわれが目指すべき数字と状態を明確化してほしいのです。

参考として、2008年からの入退会数の推移を調べると、4年間退会者数が減り続けています。2012年では一番退会者が少ないのです。皆さんの増える・減らない組織づくりの取り組みの成果であると思います。また、地域の全従業員数に占める同友会企業の社員数では、一番雇用貢献率の高い北海道の厚岸郡浜中町が46・31%。地域内で働いている半分の人たちが同友会企業で働いているという驚きの数字です。

例会の開催数、参加者数。例会だけでなく、小グループ活動や部会委員会。実際に学んだことを実践して成果を出しているかどうか。役員と事務局の育成など運動を蓄積するデータベース化など、情報を集め強みの明確化をしていってほしいと思います。

最後に、自主・民主・連帯の精神はこの企業づくり・地域づくり・同友会づくりそれぞれの運動のベースにすべきだと思います。第10分科会の報告からですが、「会社づくりと支部づくりは同じです。人を生かして組織を作っていく必要があります」という話がありました。まさに自主・民主・連帯の精神をベースにしてどこまで取り組めるかの問題であると思います。

「中小企業家しんぶん」 2013年 8月 5日号より