“今でも避難している人がいることを忘れないで” 福島相双地区を視察【中同協正副会長会議】

 8月2~3日、中同協正副会長会議が5万名推進・組織強化本部会議を兼ねて福島県郡山市で開催され、14名が参加。2日目には相双地区の視察を行いました。

 1日目は中同協第45回定時総会のまとめや3推進本部の現状と課題、各ブロック活動の強化などについて意見交換。また今後の全国行事の準備状況などについて確認しました。

 2日目は東日本大震災や東京電力福島第1原発の事故で大きな被害を受けた相双地区を視察しました。福島同友会の安孫子健一前理事長、増子勉前専務理事、豆腐谷栄二事務局長も同行。現地では高橋美加子相双地区会長、菊地逸夫前相双地区会長も合流し、南相馬市、浪江町を中心に視察を行いました。

 浪江町では同町産業再生係長の大浦龍爾氏が同行、現地の状況などについて説明がありました。浪江町は福島第1原発が立地する大熊町や隣接する双葉町のすぐ北側に位置しており、立ち入りが制限されていた地域。4月1日から立ち入り制限が緩和され、さまざまな条件の下、一部の地域で日中に限って立ち入りができるようになりました。

 しかしJR浪江駅前など町の中心部でも人影はほとんどなく、道路には雑草が茂り、壊れたままになった建物も目立ちます。海岸近くの地域は、津波で建物などが流されてなくなっており、荒涼とした平地が広がっています。あちこちに津波で流された船や自動車が横転したままになっているのも目に入ってきます。

 大浦氏は3・11直後、多くの町民が着の身着のままで避難することを余儀なくされた状況や、現在も電気や上下水道が復旧していない町の様子などを紹介。「原発事故の被害の大きさをわかっていただきたい。浪江町を、そして今でも避難している人がいることを忘れないでほしい」と訴えるとともに「私たちのふるさとの再生に向けて今後もがんばりたい」と決意を語りました。

 南相馬市では、津波で亡くなった方を慰霊するために建立された観音像を見学。観音像を自費で建立した相双地区会員の岡本吉輔氏から3・11当日の津波被害の様子や建立にいたった経緯などを聞きました。

 震災被害、そして原発被害の甚大さを改めて認識するとともに、継続的に現地を訪問することの大切さ、引き続き全国で復興支援の取り組みを強めていくことの重要性を確認した視察となりました。

「中小企業家しんぶん」 2013年 8月 15日号より