統計データでみる消費税

 安倍首相が来年4月からの消費税を8%に引き上げると表明しました。消費税の実態を知るために、実際の消費税の課税状況を見てみます。

 2010年度の国税庁のデータを見ると、国税分の4%で税額9兆5144億円です。そこから還付申告分を差し引き、既往修正と重加算税および税関分を加えると合計で10兆300億円となっています(表1)。残り1%分の地方税2兆3782億円から還付申告を差し引いた1兆8715億円を加えると、消費税全体の課税状況は、合計で11兆9015億円が実態です。

表1 2010年度消費税の課税状況

 「消費税」の名称通り、消費から税を取れるとすれば、国民経済計算の名目GDP(2010年度)の民間最終消費・政府最終消費・純輸出(輸出入の差)の合計額に国税分4%をかけて、最低でも15兆373億円にはなるはずです。しかし、非課税などあるにしても、国税分の4%分だけでも5兆円下回っているのが実態です(表2)。

 これが8%になれば、国税分6.3%は約5兆円増(地方税分1.7%は約3兆円)と見込まれていますので、2010年度の国税分(10兆300億円)に加えると2014年度消費税(国税分)の見込みは約15兆円ということになります。本来の消費に対する税なら約23兆円と見込まれますので、その差は8兆円に膨らむことになります。消費税の本質はこのように企業課税であって消費への税ではないことを知る必要があります。

表2 2010年度国内総生産(支出側)の主な項目と消費税

「中小企業家しんぶん」 2013年 10月 25日号より