【特集】4委員会合同研修・委員会【4委員会各委員長からのまとめ】

人を生かす経営は「労使見解」の実践  経営労働委員長 大野 栄一氏

 「人を生かす経営」は、冊子のタイトル「中小企業における労使関係の見解(労使見解)」にもある通り、「労使見解」の実践だと思って間違いありません。

 今回の4委員会合同研修・委員会では連携をテーマに進めてきました。経営労働委員会では、「労使見解」のより具体的な実現が求められています。各委員会がそれぞれの役割を自覚しながら「人を生かす経営」の企業づくりを推し進めていきましょう。

 ここに来られた皆さんはそれぞれ委員長や副委員長など役割を担っているかと思います。皆さんにお願いしたいのは、役員として同友会を理解した上で自分たちの役割をしっかりと果たし、各同友会で「人を生かす経営」の企業づくりの推進を位置づけていただきたいということです。そうすることによって4委員会の連携は進んでいきます。

 田山氏の『変革と継承』という書籍が発行されました。ここには「労使見解」の意義や、「人を生かす経営」の大切さ、なぜ同友会はそういう企業づくりを目指すのかということも明確に提示されていますので、ぜひ読んで学んでください。

 経営労働委員会として、経営指針成文化運動を通して4委員会が結びつく役割を担っていきたいと思います。

主人公は「一人ひとり」 社員教育委員長 本郷 利武氏

 宮崎・中同協副会長から、同友会用語を使わないという提起がありました。これは「自分の頭で考えて、自分の言葉を探そうよ」という問題提起だったのではないかと思います。

 北海道は今、雪です。坂道のところは四輪駆動でないと登れません。北海道同友会では、「地域」と「会社」と「同友会」、そして「家族や友人」の四輪駆動で同友会運動を進めていこうと話をしています。

 会社の主人公は社員一人ひとりです。社員一人ひとりはいろんな可能性や個性を持ち、幸せになるために生まれてきました。会社では社員、地域では住民、同友会では会員、同友会事務局では事務局員――主人公はそれぞれ「一人ひとり」。そこを重く考えなければ今の時代は乗り越えられません。

 国の主人公は「国民一人ひとり」、そこが今、危うくなっているのではないでしょうか。

 日本経済の土台は中小企業であり、日本経済の柱は地域経済です。自社が強くなって、土台と柱も強くなるという良い循環を同友会で築いていきましょう。

 そして、「社員一人ひとりに寄り添い、見守りながら、共に生きていく」と社内にも地域にも強いメッセージを発信し、世界で一番「一人ひとりの人間が人間として、人間らしく」活躍できる国に私たちでしていきましょう。

人が社会で輝く「入口」として 共同求人委員長 小暮 恭一氏

 企業活動の根本は「人」であり、社会の根本も「人」だと言えます。人は生まれてきた時からそれぞれの役割があって、それぞれが社会の中で生きています。企業の役割は、雇用した社員それぞれの持つ役割をどう輝かしいものにしていくかということだと思います。人を中心とした企業の活動を見てみると、4委員会に求められる視点が見えてきます。

 共同求人委員会は、新しく社会に出ていく人たちを企業の中に受け入れ、彼らを社会人としてどう育成していくかという点で、とても責任のある重要な役割があります。人が企業を通じて社会でいきいきと輝く、言わば「入口」を担当している委員会です。

 ただ残念なことに、全国の同友会の中でも、人を受け入れる入口を担っている共同求人委員会が組織されていない同友会があります。

 共同求人活動の果たす重要性を知っていただき、必要な委員会だという理解が深まり、共同求人活動が全同友会にひろがればいいなと願っています。

違いを生かすことこそ企業の使命 障害者問題委員長 内田 五郎氏

 私は宮崎同友会に入会し、まず共同求人委員会に入りました。そこで一緒に委員をしている仲間から紹介されたのが障害者雇用を始めたきっかけです。その人が入って12年、今では販売部長になっています。 彼女が担当すると必ず売上が上るんです。同友会に見つけていただいたと思っています。次に社員教育委員会で「違いを大切に」ということを学び、そこから障害者委員会と関わることになりました。

 当社はケーキ屋ということもあり、クリスマスの時期にパンフレットの配布先のリストを書いてもらうようにしました。ノルマもなく、特に評価をするわけでもありませんので、提出する社員はいません。しかし、ある店舗で私が朝礼で話をした後、ハンディを持った社員が「社長、これ」と言って渡してくれたのは、パンフレットの訪問先と回収結果を記したものでした。ハンディを持った人がいると、健常者とは違う面で気づきがあります。そういう違いを生かしていくのは企業としての使命だと思います。同友会では、普段から人に関する課題解決への実践を4つの委員会活動を通じて取り組んでいます。同友会活動を続けることが、企業づくりや地域づくりを前進させていくことにつながると思います。

宮崎代表まとめ

 私が共同求人に初めて参加したときのことですが、学生に「御社はどんな会社でしょうか?」と聞かれました。「宮の雪というお酒を作っている会社です」と答えたらその学生さんは2度と来ませんでした。経営指針を成文化して理念ができてから、その質問は「御社の理念はどのようなものですか」という意味であると気づきました。つまり、経営指針作成をしていないと共同求人に参加しても採用はできません。このように4委員会はそれぞれにリンクしています。

 これは私からの提起になりますが、共同求人委員会があるのだから特別支援学校にも求人をしてほしいです。これはどの同友会も取り組んでいません。特別支援学校は障害者問題委員会に任せているのではないでしょうか。本当に採用と雇用を考えるのであれば、委員会が連携してやるべきであると思います。

 「人を生かす経営」という言葉だけが先行しても意味がありません。今回の学びや委員会での学びを自分の企業で実践し生かしていく。皆さんの企業を地域の誇れる会社にすることが大事です。あの会社が入会している団体なら私も入りたいと思われる会社を作るためには人を生かす経営の実践が唯一無二の方法です。

 地域の鍵となる企業である皆さんが集結し討論しあうことに大きな意味があります。4委員会が連携することがこれからの企業経営の根幹となると思います。

「中小企業家しんぶん」 2014年 3月 5日号より