森林資源の熱利用(木質ペレット)へ~使えば使うほど地域にお金が残る

【エネルギーシフトに挑戦!】 第1回 愛媛県内子町と(有)内藤鋼業の取り組み

 町の面積の80%を森林が占める内子町では、木質バイオマスの利活用で地域内循環を進めています。愛媛県内子町産材で木質ペレットを製造している、地元中小企業の(有)内藤鋼業(愛媛同友会会員)の取り組みも含め4回シリーズで紹介します。

「木こり市場」で集められる未利用材

木こり通帳

 「エコロジータウン」をキャッチフレーズにまちづくりをすすめる愛媛県内子町は、人口1万7000人、2005年に内子、五十崎、小田の3つの町が合併して生まれた町です。

 町の面積の約80%を森林が占めており、この森林資源を活用してお金が町内に回る仕組みとして、バイオマスエネルギーの利活用を進めています。

 その中心となる木質バイオマスでは、森林に眠る未利用材を町役場が運営する「木こり市場」で集め、(有)内藤鋼業(内藤昌典社長、愛媛同友会会員)がペレットを製造販売しています。

 毎月月末の3日間ひらかれる「木こり市場」では、町内の山林の間伐材など1トンの未利用材が6850円で買い取られて、持ち込んだ方の「木こり通帳」に「出荷」として記録されます。おろしたいときは、3000円分は地元商店などで使える「地域通貨券」で、残りは現金(県や町の補助)で支払われる仕組みです。町では今年度は500トン集めることを目標にしています。

未利用材を資源に、地域にお金を残す

 内子町のバイオマス構想に10年前からかかわり、今では木質ペレットで四国一の生産量となった(有)内藤鋼業。内藤氏は、「灯油や重油を買っても、輸入している大企業と中東にお金が行くだけで地元にはほとんど残りませんが、内子町のペレットを使えば全額が地元に残る。ペレットを使うほど町内にお金が回るようになります」と言います。

 (有)内藤鋼業は林業にかかわる木材加工機械、刃物の販売を主に行い、その中でペレット事業にも携わっています。

 製材所では大量に出るおがくずなどを焼却処理していましたが、2000年のダイオキシン排出規制で、製材所では、従来の焼却炉が使えない状態になりました。焼却炉販売もしていた内藤氏は、製材所のコスト負担増を考え、焼却炉を作る代わりにペレットを作ったらどうかと提案。関係者と高知のペレット工場に見学に行きましたが、「売れなければごみの形が変わるだけ」と言われ、販売ルートを確保していくことも自らのミッションとしていくことを決意しました。

 次号以降は、(有)内藤鋼業の木質ペレット製造やバイオマス発電の問題点などを紹介します。

「中小企業家しんぶん」 2014年 12月 25日号より