コロナ禍での採用・就職活動では企業も学生も手探りが続いています。そんな中で大きく変化している採用活動の基本を今一度確認し、人を生かす経営の実践につなげていくことが大切です。連載「会社を成長させる人材採用! 知っておきたい役立つポイント」の第4回目は、「求人票作成から選考までの流れ」です。
なぜ会社は人を採用するのでしょうか?
武田信玄の言葉「人は石垣、人は城」は企業経営でもよく口にされますが、「組織」がなければ企業は存続・拡大はできないはずです。採用活動は、単なる人事戦略ではなく、企業にとって根本となる重要戦略であると考えます。その重要戦略において、経営者自らが旗を振り、「いかに自社に合う人材を獲得するか」。そのためには、どのような人材を、どのような手段で獲得すべきかを真剣に社内で議論すべきであり、「会社の求める人物」「職務を遂行できる能力」「労働条件」などを学生に対し明らかにしていくツールこそが求人票です。
求人票には、職業安定法第5条の3に示された明示事項があり、併せて、自社の労務環境や教育・育成を学生に見せるために「雇用情報シート」を作成します。雇用情報シートには、学生が知りたい情報が網羅されており会社がその情報を開示することにより学生が安心して応募してくれます。またコロナ禍においては、求人票などを補完するため、学生向けに動画を作成し社内の雰囲気や働く社員の様子、仕事内容を紹介する企業も増加しています。
企業にとって採用が、根本となる重要戦略であると考えるならば、魅力ある求人票を作成し経営者自らが学生に企業の魅力を説き会社説明会に誘導すべきです。そして面接において管理職や採用担当者が質問において職務能力を確認できる項目を共有し客観的にその学生に相対しカウンセリングマインドをもって学生と面接しましょう。面接結果はフィードバックしてあげること(役員面接への留意点や不合格理由)。特に不合格理由を学校のキャリアセンターに繰り返し伝えることで、X社の求める人物像をイメージでき次の紹介にもつながります。
最後に、採用活動は企業の未来への投資活動です。企業戦略に基づいた採用活動を同友会企業で協力して行っていきませんか。1社でしかできなかったことが広がっていくはずです。
〈プロフィール〉
西 秀樹氏
神奈川大学法学部法律学科卒業。旅行業界人事、外資系コンサル会社を経て、現在は、新卒採用、人事評価制度策定、就業規則などの作成を主たる業務としている。
「中小企業家しんぶん」 2021年 9月 15日号より