【企業連携】地場産業を守り発展させる (資)濱金商店 代表社員 高坂 彰一氏・高坂 悠太氏(愛知)

【こんな会社あったんだ】第1回

 新企画「あっこんな会社あったんだ」では同友会のめざす企業づくりに取り組んでいる企業をさまざまなテーマで紹介します。第1回は「企業連携」をテーマに地場産業の発展に取り組む(資)濱金商店の取り組みです。

三河地域のつくだ煮の歴史

 つくだ煮は、長い旅の道中食として、また栄養豊富な保存食として全国に広まった400年の歴史をもつ日本の伝統食品です。愛知県三河地方は、三河湾・遠州灘とその豊かな漁場を背景に、魚介つくだ煮の全国生産量の約15%を占めるまでに発展してきました。

三河つくだ煮の特徴

 昔、渥美半島はサツマイモの一大産地でした。しかし、半島ゆえに交通の便も悪く、原料のままよりも澱粉に加工して出荷したほうが収益も多かったため、半島一帯は澱粉工場が林立していました。

 砂糖が欠かせないつくだ煮業界にとって、芋澱粉から作られる「水あめ」(イモアメ)は甘さだけではなく、食欲をそそる照り、ツヤを出す最高の材料です。そのイモアメをつくだ煮の表面にコーティングすることで、三河つくだ煮の特徴である、「辛すぎず、甘すぎず、硬すぎないつくだ煮」ができあがったのです。

ブランド化への挑戦

 地元つくだ煮業者が手を組んでブランド化へ踏み切ったきっかけは、2008年に中小企業庁が推進していたJAPANブランド育成支援事業への参画でした。

 海外で盛り上がる和食、魚食ブームを背景に、「ギフト市場向け品」「海外市場向け商品」などの新商品開発に取り組むこと。また、国内外の食品関連展示会への出展、「三河つくだ煮」認定基準による商品認定などによりブランド力を高め、国内外の販路開拓をめざす取り組みを始めました。

 それまでは、東三河のつくだ煮業者は、大手企業の下請として商品を製造し、自分たちの社名は消費者には伝わらない状況でした。この伝統ある三河つくだ煮をブランド化するために、(資)濱金商店4代目の高坂彰一氏(代表社員、愛知同友会会員:高坂悠太氏の父)が発起人となり、三河地方に在籍するメーカー9社が集まって共同企画を立ち上げて商品化したのが三河つくだ煮ブランドの商品です。

地場産業を協働の力で後世へ

 東三河のつくだ煮業者は、過去28社ありましたが、現在では12社に減ってしまっています。昔は常に食卓にあったものが今はあまり見かけなくなりました。つくだ煮は伝統ある食ですが、常に新しい商品を開発し続けなければ、たちまち飽きられてしまうと危機感を持ち、ブランド化への挑戦をし続けています。この取り組みが功を奏し、現在では、高級酒店や高品質スーパー、通販、空港の販売店など販売チャンネルの拡充が進みつつあります。

 これからも地元企業と協力して地場産業を盛り上げていきたいと高坂彰一氏と高坂悠太氏は語ります。

「中小企業家しんぶん」 2018年 2月 5日号より