【西日本豪雨被害】広島および愛媛の被災状況

 西日本豪雨による被害は、交通網や断水、自粛ムードなどで間接的な被害に拡大。中同協支援金は600万円(7月25日現在)を超え、各地でも募金活動が行われています。広島と愛媛の状況を紹介します。

直接被害83社、自粛ムードを懸念【広島】

 西日本豪雨災害による広島同友会会員企業の被災は83社(7月20日現在)。数社は、土砂の流入や水没による機械の故障や商品の破損、会社敷地(駐車場)の流失など、事業再開に向けて大きな困難に直面しています。残念なことに、自宅、もしくは自宅からの避難中に2名の会員の社員が濁流に巻き込まれ命を落としました。このような会員には、早期に事業再開ができるよう、会も事務局も寄り添っています。

 広島同友会では、7月7日の時点で、e.doyuによる「被災状況調査」を実施。被災してe.doyuからの情報を送受信できない会員について、支部、地区会などで状況把握を進めるとともに、行政から出される支援情報を随時、掲示板に掲載しています。現在、被災したと情報が寄せられた会員に対して、事務局員が直接訪問し、見舞金を渡すとともに、実際の被害状況の把握を進めています。

 今、懸念されているのが、断水、道路や鉄道など交通網の被災による地域経済へのブレーキ、風評による観光客の減少や自粛ムードの影響です。すでに、飲食業を営む会員からは、数百名単位でキャンセルが続いているという声も聞かれます。これらの状況を踏まえ、広島同友会では、8月中旬をめどに、このような二次的被害について全会員を対象にアンケート調査を実施し、二次的被害への対応などを検討する予定です。

 災害が少ないと感じていた広島会員にとってもBCPの必要性を実感するできごととなりました。経営指針の成文化や見直しの際に、BCPについても成文化を進めるよう取り組みを強化していく予定です。

 また、行き過ぎた自粛ムードにより、広島全体の経済が縮小することのないよう、被災を免れたものは、これまでどおりの生活や経済活動を行い、広島経済の活性化に努めていこうと話しています。

自治体と連携して継続的な支援を【愛媛】

 愛媛県においては、南予地域で洪水や土砂崩れが発生し、会員にも大きな被害があり、22社に直接被害がありました。

 特に被害が大きかったのは、(1)大洲市の会員:市内中心部が浸水。今秋の稼働を予定していた新工場が水没し、調整中の製造ラインが使用不能に。(2)西予市野村町の会員:町内中心部が浸水。事務所及び農産物直販所も浸水し、配送用のトラックが流される。(3)宇和島市吉田町の会員:土砂崩れにより、町内のいたるところで道路が分断し、一時孤立。社屋は被害を免れたが、自宅と外国人実習生の寮の1階が浸水。

 それぞれが地域の存続をかけて、復旧作業を進めています。

 愛媛同友会では7月8日から事務局員が現地入りし、南予に本社・出先がある会員に人的被害がないことを確認。7月13日には臨時理事会を開催し、支援金の扱いなどを決め、より迅速に現地からの要請に対応できる体制を整えました。

 現在は、現地会員を介して必要な支援の聞き取りを行い、会員を窓口として物資を届けています。一例として、大洲市の会員に届けた二層式洗濯機が、地域の共同の洗濯場所として大勢に利用されました。また、中同協や行政からの情報、金融機関の支援策などの発信も行っています。

 大洲市はライフラインの回復が進み、店舗営業も再開し始めています。野村町はボランティアと物資が入り、復旧作業が進みつつあります。吉田町は、道路が何とか通れるようになった状態で、水道復旧の目途も立っていません。また各地とも復旧作業で発生する廃棄物の集積場所が満杯となり、苦慮している現状です。

 愛媛同友会としては引き続き、現地会員と各自治体と連携して、継続的な支援を実施していく構えです。

西日本豪雨被害支援金へのご協力を

 7月上旬の西日本豪雨について、被害に遭われた皆様には心からお見舞い申し上げます。

 西日本豪雨の被害に対し、中同協では7月9日に「西日本豪雨災害対策本部」を設置し、支援金募集などを決めました。

 当該同友会及び会員企業の被災の復興へ向けた対応のために、8月末をめどに支援金のご協力をお願いします。支援金は、被災現地の同友会へ提供するほか、その一部を中同協が預かり長期的な復興支援のための調査研究活動・集会等の開催・人的支援等に活用する場合があります。

◆支援金受入口座
みずほ銀行四谷支店 普通預金口座番号0892655
中小企業家同友会全国協議会 平田 美穂

◆お問い合わせ先
 中同協事務局までお願いいたします。

「中小企業家しんぶん」 2018年 8月 5日号より