【新春の話題】埼玉、和歌山、岩手から

 2008年、中同協では第40回定時総会を7月10~11日埼玉で、第36回青年経営者全国交流会(略称「青全交」)を9月11~12日岩手で開催します。その埼玉と岩手、そして今年創立20周年を迎える和歌山から新春の話題を紹介します。

伝統は新しい風にのって~全国総会開催で飛躍の年に【埼玉】
世界遺産の懐に抱かれて~基本に立ち戻り、創立20年【和歌山】
郷土愛とおもてなしの心~冷涼な地域で生まれた文化【岩手】


伝統は新しい風にのって~全国総会開催で飛躍の年に【埼玉】

 「風にのって、気持ちよさそうに青空を泳いでいる凧(たこ)。もっと糸をくり出して欲しいと、右、左にゆれながらぐんぐん手をひっぱるときのあの感触。あの感動を子どもにもおとなにも1度は体験してほしいと願っています」。20数年かけて、145万セットの手作り凧キットを届けてきた、オリエント・エコー(株)の吉川義彦社長(埼玉同友会会員)は語ります。

 その吉川氏が「ものつくりをしているわが社が、日ごろ注意していることが素直に表されていて、わたしの好きな作文のひとつです」と紹介したのが、次男の邦彦氏が子どものころに書いた作文です。

 「僕は父のてつだいのバイトをしました。竹のいいものとわるいものを見つけてわけることです。竹といってもたこでつかうほねにあたる部分でほそくきってあります。わるい竹にはねじれという物があってはじっこをおすともう一方のはじがたてにうきあがったりします。(略)お金がかかっているのでまじめにやりました。やっているときは、『このたけひごを小学生たちがたこをつくるためにつかうんだな』と思ってやりました。(略)」

 同社の経営理念には、「日本の凧づくりと、手づくりの文化を受け継ぎ、新しい息吹を吹き込んで、次の時代へ送り届ける」と掲げられています。

 7月に40回という節目の全国総会を担当する埼玉は、今年を飛躍の年としています。(N)


世界遺産の懐に抱かれて~基本に立ち戻り、創立20年【和歌山】

 2004年、世界遺産に認定された「紀伊山地の霊場と参詣道」の3つの山岳霊場のひとつ、高野山は、現在もなお117もの寺院が密集し、1200年の信仰の歴史を秘めています。

 写真の大伽藍は、象徴的な建造物です。日本が世界に誇る文化遺産である高野山は、訪れるものを厳かな気持ちにさせる何かを秘めています。

 脈々と引き継がれてきた信仰の歴史をもつ世界遺産の懐に抱かれ、穏やかな気候と豊かな水脈に育まれた和歌山を、県民のだれもがより豊かなものにしたいと願っています。豊かな自然と歴史を守りつつ発展させていくためには、企業家が果たす役割は大きく、経済面だけでなく、環境保全意識も一層求められます。

 和歌山同友会は2008年1月、創立から20年目を迎えます。

 厳しい情勢の中で迎える20年目を第2期の設立と考え、同友会運動の基本に立ち戻り、赤石義博氏(中同協相談役幹事)の言葉、時代の要請「地球環境を守り、資源の節約にとり組みながら、全ての人々の暮らしの安定を実現すること」にこたえられる企業経営の実践集団をめざします。 (T)


郷土愛とおもてなしの心~冷涼な地域で生まれた文化【岩手】

 岩手には現在も各地に数多くの民族芸能が伝承され、現存しています。

 宮澤賢治の童話にも登場する鹿(しし)踊りは、地域ごとに150以上の伝承団体があり、それぞれが独自の地域文化として生活に深く根付いています。鹿踊りとは、鹿に似せた装束を着て8人1組で踊る郷土芸能で、盆や秋祭りの際に神社の境内や民家の庭で踊られることが多く、五穀豊穣、念仏供養といった祈りが込められています。

 ほかにも田植え踊りや鬼剣舞(おにけんばい)は100以上、神楽に至っては400を越える数の伝承団体があり、秋の収穫期が終わるころ、収穫の喜びを表すかのように各地で盛んに演じられます。岩手の民俗芸能は特別なことではなく、農業と食文化、日常生活が一体となった郷土愛そのものとも言えます。

 こうした芸能が根づいたのは、冷涼な気候のため、米が穫れにくかったことも原因でした。「わんこそば」もそんな環境のもとで生まれたお客様への振る舞いでした。結婚式など大勢の人が集まるときに、腹一杯ご馳走しようにも米はない。そこで代わりに温かい茹(ゆ)でたてのそばを小分けにして食べさせ、どんどんお代わりを勧めたのがそば振る舞いです。以来「わんこそば」はおもてなしの心を伝えるご馳走として定着しました。

 9月に開催される青全交では、広大で自然豊かな大地とそこで育まれた郷土食、そしておもてなしの心でお迎えします。(S)

「中小企業家しんぶん」 2008年 1月 5日号から