【富士宮支部】子どもたちに乗馬をプレゼント~高い組織率背景に地域貢献も多彩

 静岡県富士宮市は、富士山麓にある人口12万都市。この地で活動する静岡同友会富士宮支部は、会員数103名で、県内13支部中3番目の組織率です。

 富士宮市主催の「中小企業大学」は、静岡同友会の「同友会大学」に参加した現市長が、本質を学ぶ場としての同友会大学に感動し、地域の活性化、人材育成に役立てたいと始まったもので、富士宮支部が設営を担当。この大学も今年で3回目を迎え、地域の再生・活性化に貢献しています。

 同支部では高い組織率を背景に、地域づくりで多様な活動を展開しています。

 ポニークラブ「エヘカザル(モンゴル語で“始まりの地”の意)」(松村雅子代表)と、支部とのかかわりも数年前に遡ります。

 学童保育に携わるなかで、子どもたちのコミュニケーション能力や集中力のなさを感じていた松村氏が、県の事業を通してアニマルセラピーの素晴らしさを実感したことから、子どもたちの情操教育・障害を持つ人の自立支援を目的として設立したポニークラブです。

 借地に手づくりで木柵をうち、ボランティアスタッフの協力を得て運営を維持。趣旨に賛同した富士宮支部会員の竹内昭八氏((株)タケウチ会長)の呼びかけで、支部会員が木ぬかの提供や夜間照明設備、ボロ(馬糞)の処理、鉄板打ち抜きの看板・ステンレスの支柱づくりに協力するなど、運営の大きな力になっていきました。

 同クラブは、助成金や寄付をもとに、小学校に出向いてポニー教室を実施。子どもたちは馬の温かさを肌で感じ、馬房の掃除や世話などのふれあいを通して、いやしだけでなく、命の大切さ、愛しむ心を養うことができています。昨年から助成金がなくなり、困った同代表が富士宮支部に支援を求めたところ、有志10社が小学校訪問予算の不足分30万円をカンパ、市内10校1100人の子どもたちに乗馬をプレゼントしました。

 後日、子どもたちから「勇気をもらった」「遠くが見えた」とお礼の感想が届き、社長たちは感激。市川るみ子氏((有)市川電設社長)は「背丈以上のポニーに乗り、チャレンジする勇気、遠くを見ることは明日への希望の象徴、ふるさとの原風景がここにできる」と、子どもたちの心を育む活動に喜びを感じています。

 人々にいやしを与えるポニー教室の経営状況は厳しいですが、富士宮市内だけでなく、近隣市町村でも実施を予定。現在、同クラブでは、富士宮市新工業団地の緑地帯の一角に、「馬と触れ合う市民の広場」の設置を提案中で、同友会会員企業による支援の輪も広がっています。

(静岡・外川)

「中小企業家しんぶん」 2008年 1月 15日号から