巨大都市東京の食生活を支える中央卸市場築地市場 【東京】

まだ夜も明けきらぬうちから始まるマグロの競り―売り手も買い手も必至

 巨大都市東京の食生活を支える東京都中央卸売市場築地市場。ひとたび足を踏み入れると、回りのビル群とまるで違う空間が広がります。敷地面積約23万平方メートル、1日の来場者数約5万人。3坪あるかどうかの仲卸売店がひしめき、新鮮な魚や野菜を売り買いする元気な声が飛び交います。水産物では世界最大の取り扱い規模を誇ります。

 江戸城内の台所をまかなうため、徳川家康が大阪の佃村から漁師たちを呼び寄せ、江戸湾内での漁業の特権を与えたことが始まり。漁師たちは魚を幕府に納め、残りを日本橋で売るようになりました。正式な開設は、1935年。現在、「流通環境の変化に対応できるように」と、豊洲への移転が都から提案されていますが、予定地で土壌汚染が見つかり、大きな問題となっています。

 その築地市場で寿司屋を営む磯野家(磯野幸雄氏、東京同友会会員)では、買出しのため、毎朝2時間かけて場内を飛び回ります。自らさばく天然まぐろが自慢。マグロの1本買いをしているからこその一品です。しかも、「喜んでもらえるのがうれしい」と、2410円のお決まりでも、その日一番の値段がついたウニを使います。

 7月は東京で全国総会。五感のすべてで江戸の賑わいを味わってみては?

「中小企業家しんぶん」 2009年 1月 5日号より