同友会の青年部は何を学ぶのか・全国の交流がなぜ必要なのか【第1回中同協青年部連絡会での報告より】

 2月18日、第1回中同協青年部連絡会が開かれ、歴史的な第一歩を踏み出しました(3月15日号既報)。第1回連絡会で「同友会の青年部は何を学ぶのか、全国の交流がなぜ必要なのか」をテーマに行われたGcomホールディングス(株)取締役会長の平石勝之氏(福岡)の報告要旨を紹介します。

第1回青全交を有志で開催した経験から、同友会とともに40年

Gcomホールディングス(株)取締役会長(福岡同友会元副代表理事) 平石 勝之氏

 今から39年前、私が30歳の時に神戸に集まって有志で第1回青年経営者全国交流会を開催しました。まさかこんなふうに発展するとは想定もしていませんでした。当時は軽い気持ちで呼びかけ36人が集まりました。それがはじまりです。

 同友会は将来を担う青年経営者の活動が重要であると思います。青年経営者は純粋、正義感、行動力、チャレンジ精神が旺盛で、その青年の良いところをうまく活用して経営活動をするべきです。私の報告が皆さんに少しでもお役に立てられれば幸いです。

同友会との出合い、第1回青全交の開催

 私は1971年(昭和46年)に資本金300万円で会社を立ち上げました。当時は自治体や市町村役場の窓口業務が分かりづらく非常に大変でした。そんな時にコンピューターを見て、これは絶対使うべきだという気概に燃えて会社を始めました。しかし、当時のコンピューターは1億何千万円とするので、なかなか予算がつきませんでした。必ずコンピューターの時代が来ると思っていた時に、同友会に出合いました。

 暇があるたびに事務局に行きました。役員会が終わっては九州最大の歓楽街の中洲に行き、「手形がおちんけん、どげんしたらよかろうか」などの博多弁で本音の話を交わしていました。同友会では経営の問題をズバリ本音で語り、その厳しさと対応策は本を読むより緊張感があり大変勉強になりました。そして、お互いに生徒になり先生になりよく勉強しました。時には泊り込みで徹夜で激論もしてきました。私も若いながらコンピューターの講師として演壇に立ったことがあります。

 その頃は「2世会」が開かれていました。私も参加したのですが、2世の方々はお坊っちゃん感覚で半分遊びが目的でした。これでは駄目だなと思い、ちょっと違うことをやろうと提案して、40代未満を結集させました。そして青年同友会(現青年支部)を設立しました。その時、愛知と兵庫にも同様の会があると聞き、それでは真ん中の神戸に集まろうではないかということになりました。愛知、兵庫、福岡、東京、北海道から36名が集まり懇親会では大変盛り上がり、来年もやろう、毎年やろう!となったのであります。これが青年経営者全国交流会の最初のきっかけです。

 第2回は名古屋で開催され、今度は全国から青年部として集まりました。やはり全国から集まると高揚感が違います。同じ内容でも全国から集まってきた仲間たちと違った場所で話すと感じ方が変わり、熱い緊張感を持って帰りました。私も経営に対してモチベーションが大変あがり社内に勇んで報告をしたものです。同友会は素晴らしい!と

同友会活動と経営は「不離一体」

 経営指針や経営方針も同友会で学んだものをすぐに実践しました。経営方針を提案する際には、社員を大切にする企業でなければいけない、大きな方針は全社員で決めようという名古屋の交流会での学びをベースに作りました。

 同友会活動について改めて考えてみると「不離一体」の一言です。同友会の活動と自分の企業の活動は一緒だと考えるべきです。会員増強と自社の顧客拡大は同じで、会員が増えないことは会員が満足していないことと同じです。「不離一体」とは同友会活動と自社の経営活動は一体であるということです。同友会で学んだことをすぐに自社で実践する、自社で学んで成果を出したことは同友会に反映していく、そうすることで共に発展していくということです。私は同友会と共に40年間そういう考え方で活動を行なってきました。

 わが社では5カ年ごとの中期計画を立案しています。具体的な数字目標を作り、現在、2016年ビジョンを作りました。そして、3カ年の実施計画を作り、単年度計画を現場で部門ごとに作らせます。皆さんにも5年などの中期計画を立ててほしいと思います。私は青年同友会時代、福岡同友会で中期ビジョン委員会のメンバーに選ばれました。経営の先輩諸氏と共に時には泊り込みで、5年後同友会をどのようにするか、どう成長させるかと必死に議論しあい、これはわが社にも中期ビジョンが必要だと認識し、経営幹部と泊り込みで中期計画書をつくりました。いざ中期を見て方針に入れようとすると、そのときの経済情勢分析や業界の動向、自社の弱み・強み、本当の顧客は誰なのかが大激論となり、深夜まで議論をすすめていきました。

 そうすることにより新入社員や就職活動中の学生からの「5年後貴社はどうなっていますか」という質問に、明確に明快に答えられるようになってきました。会社では実際仕事をするのは社員だから、社長としてビジョンを打ち出さなければなりません。中期のビジョンを描き、社員に教え自信を持たせることこそ社長の役割ではないでしょうか。

 社長の役割は社員に会社の将来、ビジョンを語り不安を取り除きヤル気を起こさせることではないかと思っています。

経営は挑戦であり、知恵くらべである ―中小企業憲章より

 自社の企業活動のまとめとして、重要な方針や案件については社員全員でミーティングをして決める、社員総会を行うようにしました。社員に思い切って任せることが大切です。

 同友会活動のまとめですが、異業種で本音の会話ができることが大切なことだと思います。同友会だからこそ気軽に会話ができます。次に同友会の理念、3つの目的や自主・民主・連帯や同友会の目指す経営者像のスローガンはやはり重要です。当社も同友会に学び、毎朝、朝礼で経営理念やISOの方針を全社員で唱和しています。

 次に本日のメーンテーマである「これからの青全交をどうしていくか」ですが、私の経験上、全国で交流会をやると、全国で選ばれた人たちの発表からレベルの高い事柄を学べることが多いだろうと思います。同じ業種の方でも地元では競合していても全国になると競合はなく、同じ業種でも共通の悩みを本音で語れます。聞きにくいことでも懇親会などで相談しやすい場ができると思います。このように交流の場を提供するのが同友会です。そのあとは経営者のあなたたち自身が一歩踏み込めるかの問題です。そして、全国に人との交流の場ができ、知人ができると気軽に電話ができたりして仕事や興味の幅が広がります。

 若いということは、純粋で、世間の汚れたところを体験していないから革新的で正論をガンガン話せます。失敗してもなんとかなるという気持ちで行動できる。若いとは行動力があることです。新しい環境に溶け込みやすい、若い経営者はスマートフォンをすぐ使いこなせます。そしてコミュニケーション能力が高く、素直さが残っているので良いと思ったところをすぐに取り入れる。だから若い時に全国的な交流会ができるのは大変大きな意味があると思います。

 最後に、「経営は挑戦であり、知恵くらべである」。私が今回新たに学んだ中小企業憲章からの言葉です。将来のことを考えて行動すると、単年度のことも見えてきます。私も色々と同友会に関わり出席するだけであれば何もしないけれど、報告者や役員など出番が与えられると勉強を強いられます。失敗しても1つの体験として受け止め、次に生かせる。皆さんもそれぞれの役割で積極的に参加し同友会で学んだことをぜひ企業内で実践してほしいと思います。改めて新しい学びのためにこのような出番を用意していただき、ありがとうございました。

会社概要

設立 1971年
資本金 1億円
年商 グループで156億円
社員数 グループで468名
事業内容 地方自治体向けソフトウェアの販売・開発など
所在地 福岡市博多区東平尾
URL http://www.gyoseiq.co.jp/

「中小企業家しんぶん」 2012年 5月 5日号より