【特集】女性の活躍促進で、企業力・地域力アップ

女性のエンパワーメント原則(WEPs)=Women’s Empowerment Principles

 同友会が進めてきた「人を生かす経営」は、社員一人ひとりの個性や能力が発揮され、生き生き活躍している企業を目指しています。女性の活躍が日本経済の活力を高めるとの社会的な期待もあり、役職者の女性の割合を高めること(ポジティブアクション)や、女性が働きやすい職場にするために労働環境改善を積極的に図る企業の取り組みが評価されてきています。女性の能力を引き出し、活躍の場を企業としてつくるため、国連が主導して作成した「女性のエンパワーメント原則(WEPs)」について、会員企業2社の実践と内閣府担当者の解説から紹介します。

(編集取材・中同協事務局 本多由香)

*WEPsは、中同協からも委員を出している内閣府男女共同参画推進連携会議「国際的に連携した女性のエンパワーメント促進」チームで推進しています。

WEPsで女性の活躍促進を見える化

 今、「女性の力」が企業・地域の力を高めるために欠かせません。それは公正・公平の観点のみならず、少子高齢化・生産年齢人口減少の中、経済を活性化する切り札として強い期待が寄せられているためです。最近では、IMF(国際通貨基金)やOECD(経済協力開発機構)といった国際機関からも、日本経済の発展には女性の活躍を促すことが効果的と提言されているのです。

 そこで、内閣府が事務局を務める男女共同参画推進連携会議では「女性のエンパワーメント原則(WEPs・ウェップス)」と呼ばれるツールを紹介しています。企業内で女性が生き生きと活躍し、その取り組みを市場や地域と共に進めるために必要な観点を、コンパクトに「7原則」としてまとめたもので(別図参照)、国連が主導して作成しました。

 特長は3つあります。

(1)国際的に共通した枠組み
 あらゆる局面で海外諸国との関係が欠かせない今、企業が国際的な約束に参加することは、活動の信頼性を高めます。

(2)企業経営者と国連との直接の約束
 経営者はWEPs7原則に賛同することを署名し、国連事務局に送付する……WEPsに参加する手続きはたったこれだけです。経営者の判断が直接、即時に反映され、署名企業の一覧は国連ウェブサイトで公開されます。

(3)自らの気づきを促すツール
 7原則を満たせずとも、ペナルティはありません。企業活動を振り返り、不足部分をチェックするPDCAサイクルで、経営改善に寄与します。また、各社の好事例を世界で共有し、自らの取り組みに活用できることもメリットです。

 2012年10月現在、WEPsに署名している企業は全世界で466社(日本は157社)です。

 従来からWEPs7原則と同様の理念を持つ企業にとっても、WEPsに参加し理念を明示することで外部評価も高まり、優れた人材の確保といったメリットにもつながり、会社に対する誇りを社員が持つことにつながる可能性もあります。また、WEPsを契機として女性の活躍促進を明確に経営の核に据え推進することによって新たな価値創造につながり、企業の持続的発展にも貢献します。

 女性の活躍による活性化と第一歩として、WEPsをご検討ください。

(内閣府男女共同参画局担当官 松久保大作)

「中小企業家しんぶん」 2013年 1月 15日号より