同友会で広がる輪 (株)奥野組 代表取締役 奥野 一三 (岡山)

【変革への第1歩~活用しよう企業変革支援プログラム】37

 当社は祖父が創業した社歴60年の建設会社。社是も経営指針もなく、岡山同友会に入会し、すぐに経営指針成文化セミナーを受講しました。

 経営指針を成文化し社内発表して実践していくなかで仕事も増え、なんとか希望が見えてきた頃です。結果として社員たちの喜んだ顔ではなく疲れ切った顔と退職を望む声がでてきました。

 そんな時、企業変革支援プログラムが発刊され、実際にやってみました。「人を生かす経営の実践は?」「付加価値を高めていますか?」などの問いに、会社では、年度計画を振り返り利益やお金のことだけで、人を生かす経営からの視点での方針は何も打ち出されていなかったことに気付きました。

 「何のために経営をしているのか」と猛省し、それからは経営指針作成の段階で視野や考えを広げるためにも企業変革支援プログラムを活用しています。

 そして学びを続けるために例会や委員会活動、全国行事に積極的に参加し、気づきを自社に持ち帰り実践するようになりました。

 同友会に入会した時には、自社の発展はおろか維持さえ不可能だと希望を失い、業績の悪い理由を環境や他人の問題にしていた私に多くのことを気づかせてくれたのは同友会の仲間でした。自社を良くしようとする個々の取り組みが会員同士で共有され磨き合うことでさらに地域に活力の輪を広げていく。そんな輪の一員でいられることが私にとって誇りです。

 企業変革支援プログラムは自社経営の自己診断のツールであり、結果をe.doyuに登録すると履歴が蓄積されレーダーチャートの輪で表示することができます。私は09年から毎年決算前に診断を登録してきましたので、5つの輪で表示されます。当社の現状は輪がまだ小さく、円というより星形となり課題の多さに気づかされます。全国の会員企業と比較することもできるので自社の経営の指標として利用しています。

 また「全国の平均データ」を見ることもできます。その中でも「経営指針取組年」別のデータでは経営指針を作成していない企業から、作成して11期以上までの5つの輪がだんだんと広がって表示されます。興味深いことに「創業年」別では社歴に応じて輪が大きくなるわけではなく、経営指針の実践を続けていく重要性と必要性を強く感じます。

 私もそうですが経営指針に取り組んで間もない経営者にはとても励みになるデータです。

「中小企業家しんぶん」 2013年 12月 15日号より