第3回 「でんさい」の利用環境

信用保証協会の利用

 2013年9月20日にいわゆる「小規模企業活性化法」が施行され、でんさいなど電子記録債権の割引等についても、手形割引と同様に信用保証制度の対象として取り扱われることになりました。

下請法上の取り扱い

 「でんさい」は、手形と同様、下請法上の有効な支払手段として認められています。「でんさい」を下請代金の支払手段として利用する場合には、公正取引委員会が、2009年6月19日付で、取引部長通知「電子記録債権が下請代金の支払手段として用いられる場合の指導方針について」を公表していますので、ご参考にしてください。

領収書の取り扱い

 債権者として「でんさい」を受け取った場合、領収書を発行するか否かは当事者間の取り決め次第であり、必ずしも領収書を発行する必要はありません。

 また、領収書を発行した場合でも、「でんさい」は金銭にも有価証券にも該当しないため、当該領収書への収入印紙の貼付は不要です。しかし、「上記金額をでんさいで受領いたしました」など「でんさい」で受け取った旨の記載がない場合には、印紙税法上の課税文書(第17号の1文書)に該当しますので、ご留意ください。

「でんさい」の会計処理

 「でんさい」の勘定科目や割引時の取り扱い等、会計上の取り扱いについては、企業会計基準委員会が、2009年4月9日付で「電子記録債権に係る会計処理及び表示についての実務上の取扱い(実務対応報告第27号)」を公表しています。具体的な取り扱いについては、公認会計士や税理士にご相談ください。

貸倒引当金繰入事由への採用

 でんさいネットには、手形交換所の不渡処分制度と同様の「支払不能処分制度」があり、債務者が、資金不足等で6カ月以内に2回以上でんさいを支払不能とした場合、取引停止処分として、でんさいネットの債務者としての利用および参加金融機関との間の貸出取引が禁止されます。

 2013年4月1日付の所得税法施行規則および法人税法施行規則の改正により、でんさいネットの取引停止処分についても、債権者の貸倒引当金繰入事由として認められています。

「でんさい」の利用状況

 2014年3月末現在の利用者登録数は約36万社、「でんさい」の残高は約1兆円、また2014年3月単月の発生記録請求件数(手形の場合の振り出し件数に相当します)は約4万件になります。いずれの計数も、開業以来、順調に伸びてきています。これらの計数は、でんさいネットのホームページにおいて毎月統計情報として公開しています。(連載終り)

ホームページURL https://www.densai.net/

(株)全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)

「中小企業家しんぶん」 2014年 5月 15日号より