【東北食と農の見学交流会in秋田】広大な干拓の地・大潟村で自立型農業の夢を語り合う

 7月24~25日、秋田同友会主催による「東北食と農の見学交流会in秋田」が秋田県・大潟村で開催され、青森・山形・岩手・宮城・福島の東北近隣5県、また、遠くは香川から95名が参加しました。

東北食と農の見学交流会

 1日目は開催地の大潟村について「干拓博物館」を見学しました。大潟村は農業のために日本で2番目の面積を誇っていた八郎潟を干拓、1964年に発足しました。「冷害がない地」、「肥沃な大地」、「大規模で、作業効率がよい農地」という農業にとって天国のような地です。大潟村の農業は第1次入植者の2世・3世という若い後継者に受け継がれています。

 会員企業の見学先として(有)正八(宮川正和代表取締役)に移動。同社は大規模農地を生かし、輸入野菜にも競争ができる収量と低価格化を実現しています。また、茨城県つくば市に農地を求め飼料用子実コーンの生産実験を行い輸入飼料との競争を考えておりグローバルに挑戦しています。

 次に、(有)ライスロッヂ大潟(黒瀬友基取締役)の圃場を見学。合鴨を農地に放ち除草を行うなどユニークな方法で高齢化の人材不足に対応、無農薬栽培など「米」の付加価値に特化した農業をおこなっていました。

 見学後会場を「サンルーラル大潟」に移し、大潟村松橋ファームの松橋拓郎氏から「『人と人とが繋がる農業』を目指して」をテーマに実践報告がありました。若手農家の松橋氏は農業生産者と顧客がつながる「産直」、農業生産者と企業がつながる「連携」、それ以上に顧客同士などの人と人とがつながることを目指していました。

 その後の懇親会では高橋浩人・大潟村村長が「これからの農業はさまざまな産業・人とのつながりが大切。入植者の2・3世の若い世代が新しい視点で農業を始めており心強い」とあいさつしました。

 2日目は潟上市に移り、廃自動車適正処理業を営む(株)大晃商事(土門五郎代表取締役)へと向かいました。(株)大晃商事は多額の設備投資を行い、廃タイヤを自前で処理し農業に有効活用するDeco・Farm(株)を設立。廃タイヤを特殊なボイラーで燃焼させ熱エネルギーに変換、エネルギーはハウス内でトマト、椎茸の栽培に活用されています。

 大潟村入植の開拓者精神を受け継ぎ、若い世代が新しい農業のあり方を模索する姿に参加者一同胸を打たれました。

「中小企業家しんぶん」 2014年 8月 25日号より