社員の理解と納得を大切に (株)西田葬儀社 営業部部長 西田 祐規(愛知同友会名古屋第5青同地区会長)

【変革への第1歩~活用しよう企業変革支援プログラム】43

 弊社が企業変革支援プログラムを経営指針に活用するようになったきっかけは、会社の立て直しのためでした。今までは、競合会社が少なく選ばれる状況でしたが、大企業の資本を生かした営業力により、同業他社は廃業に追い込まれていきました。その当時の社内は、将来が見えず人が辞めていく、働く環境が整っていない、個別で仕事をこなしている状況でした。究極の接客が求められる厳しい業界では、人が育たない状況は最大の弱みでもありました。

社員に芽生える責任感

 社員と共に経営指針作りに取り掛かったのは、企業変革支援プログラムの活用と同じ4年前。弊社の指針は、方針と横並びに経営軸と事業軸から成り立っています。経営軸は企業変革支援プログラムから、事業軸はSWOT分析から課題を抽出しています。この両輪が方針と共に描かれていないと黒字企業を目指せず、またそればかりを追い続けると人を生かす経営が軽く見られてしまいます。

 年に1度、点数の差異の埋め合わせを社長、幹部、社員代表と話し合い、1カ月かけて方針に盛り込み、取り組むべきことを明確にしていきます。方針の具体化には、ステップ2を活用しています。

 この方法から、社員の声がダイレクトに経営指針に反映され、定着率も上がってきました。仕組みを作る上で一番気を付けている点は、社員の納得と理解です。社員には主体性を持ってもらうことで、「自ら動ける人間でなければ、幸せになれない」との思いが浸透してきたように思えます。

社員の心の成長

 企業変革支援プログラムを始めて、組織的に動けるようになってきました。形として表れてきたのは、朝礼が定着し、課題にそったグループ討論ができるようになったことです。ある時は、カテゴリーⅠ「経営者の責任」から、「地域から求められる企業になるためにはどうすべきか」を話し合いました。そこで出た結論は、月に1度地域清掃をしようという社員からの声でした。自社を通して地域を考えるようになったこと、会社をわが事と考えてくれるようになったこと、そして何よりも社員の心の成長をうれしく感じています。

社内一丸体制

 企業変革支援プログラムは、結果的に社内一丸を目指すものになりました。共通の評価軸から社内をさまざまな側面で見る事ができます。企業の目指すべき姿も、今までは業界シェアNo.1でしたが、今は将来に向けて社員全員がワクワクするものに変化しました。これは、指針の中に社員がきちんとパートナーとして位置づけられたからだと思います。社員の声に耳を傾け、より良い企業を目指していきたいと思います。

「中小企業家しんぶん」 2014年 10月 15日号より