環境経営でイキイキ会社づくり 上島珈琲貿易(株) 代表取締役社長 上島 淳史氏(大阪)

【エネルギーシフトに挑戦!】第14回 同友エコ大賞企業

上島社長

EA21取得を機にマイナスからの再生

 1932年に兵庫県神戸市で上島商店として創業を始めた上島珈琲貿易(株)。現社長の上島淳史氏は2009年に社長就任後、環境経営の推進を行い、社員それぞれの個性・能力を最大限に発揮できる創造型企業づくりを続けています。

社長就任と同友会との出合い

 社長就任の契機は会社再生でした。まず初めに感じたのは「私と社員が向き合っている」ということです。幹部社員のころから経営者だと自覚していたつもりでしたが、実際は社員の1人として先代社長に向きあって仕事をしていたにすぎないと思い知らされました。

 当時の社内は社員に笑顔や元気もなく、とても暗い雰囲気でした。何もしないでいると不安だったので、本社・営業所・工場の3カ所の事業所を1カ所に集約し、トイレ掃除や朝礼など、できそうなことから手をつけていきました。

同友会入会と、「もったいない」からスタートしたエコアクション21

 自社の厳しい状況を何とかしたいと思いつつ1人では解決できないと悩んでいたところ、同業の経営者から大阪同友会を紹介され、すぐに入会しました。

 入会後は、例会・研修会など手当たり次第に参加しました。ところが、先輩会員から、「たくさん参加しているようですが、学んで気づいたことを社内で実践しなければ何も変わりませんよ」と言われて、自社に持ち帰って実践するように心がけました。

 その実践に役に立ったのがエコアクション21(以下、EA21)認証の取得でした。焙煎工場や倉庫などでは終日、使ってもいない照明やエアコンがついており、そんな「もったいない」をなんとかできないかと考えたことがスタートでした。

 ちょうどそのころ、同友会のEA21認証取得スクールを知りました。社内で相談したところ「社長が最後まで一緒にやるなら、頑張りますよ!」と前向きな意見も出て、参加することになりました。

 登録申請書を作成、提出して、無事に承認を得られました。しかし、実はこれが環境経営のスタートであり、やればやるだけ改善に取り組まなければならないことが、やってみた後から分かってきました。

いろいろな取り組みと変わっていく企業風土

 EA21に取り組むようになって、社員から改善提案が出てくるようになりました。例えば、空調室外機に手作り日よけを製作して設置したこと、夏場には窓に網戸を購入して取りつけることが社員から提案され、エアコンなしで仕事ができるようになりました。また、デマンド計を設置して最大値を抑制し、電気の基本料金を下げることも見える化できました。

 最近は省エネだけでなく、本業での環境への取り組みとして、珈琲焙煎加工の有機JAS認証を取得しました。これも、EA21取得後に営業社員から環境配慮型商品の取り扱い希望が出され、一気に前に進みました。「どうやったらできるやろ」と議論する中で、社員一人ひとりが変化していくのが楽しみになってきています。

 今後は、本業での環境経営を推進し、売上増加や事業拡大につなげていきたいと、上島氏は意欲的です。

会社概要

創立:1932年
社員数:64名(正社員:33名、パート:31名)
所在地:大阪府堺市美原区太井122-1
事業内容:珈琲焙煎加工及び卸売業 珈琲専門店フランチャイズチェーン主宰
URL:http://muc-coffee.co.jp

「中小企業家しんぶん」 2014年 12月 5日号より