時代を超えて生き残る強い会社をめざして(有)福井堂 代表取締役社長 マクドナルド吉延 洋子氏(岡山)

【Women!~輝く女性経営者!】

マクドナルド氏

思いもよらなかった経営者への道

 福井堂は明治4年に創業し、今年で143年を迎えます。和菓子製造という基本は守りつつ、これまで旅館業や飲食業などさまざまな事業を営みながら、時代の変化に対応してきました。

 高校卒業後、母から「将来、万が一、お菓子のお店をしたいと思った時のことを考えて、基礎だけは学んでおいた方が良い」と言われ、製菓学校に進学しました。すると、自分で作ったものを周りの人が喜んで食べてくれることに面白さを感じ、漠然といつかは自分の店を持ちたいと思うようになり、福井堂に入社しました。

 その後、学生時代の知人からカナダのワーキングホリデーの話を聞いて自分も行きたいと思い、両親の反対を押し切ってカナダにお菓子の勉強に行きました。そこで今の主人と出会い、結婚し、そのまま定住する決心を固めました。

 そんな時、突然、父から連絡があり、「このまま洋子が帰ってこないなら跡取りがいないので福井堂を閉める」と告げられました。ずいぶん悩みましたが、最終的には帰国して福井堂を継ぐ決心をしました。

想像以上の経営難

 帰国後、数年して社長に就任しましたが、近隣の商店街の空洞化や地域の過疎化は想像以上に進んでいました。売り上げも年々落ちていき、会社存続の危機を何度も経験しました。その都度トップダウンの経営で乗り越えてきましたが、根本の解決には至らない状態でした。

同友会との出合い

 その頃、金融機関の紹介で同友会に入会して経営指針成文化研修会を受講しました。

 当時は「こんなに頑張っているのに、なぜ経営が良くならないのか」と不思議だったというのが本音です。しかし受講してみて初めて、今までいかに無計画に経営していたか痛感させられました。

経営指針をあきらめることなく実践

 出来上がった経営指針を発表しましたが、先輩経営者から言われたとおり、社員は不思議そうな表情をしていました。しかし、2年、3年と繰り返し実践していくうちに、社員の自主性が少しずつ見えてくるようになりました。

現在の福井堂

現在は、かつての自分がなんとなく思い描いていた、理想のお店を出店する計画を社員と一緒に考えられるようになりました。経営指針を実践することにより、会社全体で進むべき道を見つけることができたと思っています。

(マクドナルド吉延氏は6月18~19日に岡山で開催される「第18回女性経営者全国交流会」の第1分科会で報告します。)

会社概要

設立 1871年
社員数 119名(内パート・アルバイト103名)
資本金 300万円
年商 6.5億円
事業内容 和洋菓子製造販売
URL http://www.fukuido.co.jp

「中小企業家しんぶん」 2015年 5月 5日号より