イギリスの「EU離脱問題」を考える緊急セミナーを開催【北海道】

北海道同友会

北海道同友会政策委員会は、イギリスの「EU離脱問題」を考える緊急セミナーを8月2日に開催しました。当日は、EU研究の第一人者で、国民投票前後2週間にわたってイギリスで取材した北海道大学公共政策大学院の遠藤乾教授が、この問題の背景と核心、今後予想される変化などについて講演。82名の参加者が熱心に聴き入りました。

6月23日に行われたイギリスの国民投票で、EU(欧州連合)からの離脱が52対48の僅差で決まり、世界に衝撃が走りました。キャメロン首相は退陣を表明し、ポンドは暴落、円高株安は一気に進みました。

 遠藤教授は、世論調査会社やメディアなどが投票結果を読み誤ったのは、国民の関心が想像以上に高まり、72・2%という高い投票率になったことと指摘。

 また、ロンドンを除くイングランドとウェールズがEU離脱を選び、スコットランドと北アイルランドは残留を望むというように、地域ごとに投票結果がわかれた点を、経済停滞、地域の分離独立問題、保守党の右傾化と労働党の内部対立、英国独立党の伸長と中道の没落の角度から解説しました。とりわけ、グローバル化の中で忘れられた人々=先進国の中間層の反乱がEU離脱に向かわせ、そのことは「アメリカのトランプ現象」、「フランス社会党の没落と極右の国民戦線の躍進」などにも通じると分析。

 最後に遠藤教授は、「求められるのは、経済と政治、世界と国民、資本と労働をつなぐ包括的構想。タックスヘイブン問題や、1日に500兆円が世界の市場をさまようマネーに対する取引課税など、国際的施策の実施が必要」と結びました。

「中小企業家しんぶん」 2016年 8月 25日号より