【実践 経営指針】6 受講生と卒業生の関係強化で継続的な実践を【兵庫】

 各同友会の経営指針実践運動の取り組みを紹介する今シリーズ。今回は、兵庫同友会の経営指針成文化と実践運動の取り組みを紹介します。

兵庫同友会 経営指針づくり勉強会

 兵庫同友会では、1987年に第1期経営指針成文化セミナーを開催しました。その後、阪神淡路大震災の年を除いて毎年2回開催し、今回で53期目を数えます。

 当初は、3日間の宿泊研修のみでしたが、現在の勉強会のスタイルは、経営指針を広く知ってもらうオープンセミナーで受講者を募り、約4カ月で5回の半日研修で経営指針書を作り上げ、3日間の宿泊研修で社内発表できる使える指針書にブラッシュアップして、その後の支部や委員会でのプレ発表の場で受講者全員の発表をチェックして、自社で発表するという流れになっています。

「ケイローさん」がフォロー

 この5年ほどの受講者は毎回30名~60名で、“ケイローさん”と呼ばれる卒業生が毎回70名ほど登録して学びあっています。

 各講座で出される課題を事前提出してもらい、その状況をケイローさんも確認しながら勉強会に臨んで、「労使見解」や『経営指針作成の手引き』の読み合わせと解説をケイローさんが担当し、支部ごとのグループで学びあいます。また、各回の勉強会の翌週には、フォローの会(夜間で2カ所開催)を行い、欠席者が補講を受けることで次の講義に臨めるようにしています。

 3日間の経営指針成文化セミナーでは、全員パソコンを持ち込んでもらい、5回の勉強会で作成した指針書を単元ごとの講義や事例発表と会員同士の熱い語りあいの中で新たに気づいた点や変更点を修正しながら、社内で発表できる指針書に作り上げます。受講者同士の絆も強くなり、お互いに切磋琢磨する状況が生まれ、以後の同友会活動の中心役員となる人も多くいます。

 兵庫の特徴としては、(1)受講生がケイローさんの献身的なかかわりに感動して、自分もケイローさんになって学ぼうという気風ができている、(2)支部との関係がうまくいっており勉強会に協力的で、支部でもプレ発表会ができる体制になっている、(3)卒業生が新たな受講生を呼んでいる、ということがあります。毎回ケイローさんの事前勉強会も行っており、本当に時間と労力を掛けて参加してもらっていますが、解説や発表することで自らの学びが大きいと多くの方が楽しんで関わっています。

 委員会としては、全員のプレ発表までをフォローしていますが、指針の実践についての課題解決は、就業規則や数値勉強会や労働環境勉強会などテーマごとの自主的な小グループ勉強会で対応してきました。指針の改定や発表を1~2回でやめてしまうケースが多いこともあり、2年前からは経営指針発表3回目までの会員を対象に、『企業変革支援プログラムSTEP2』を活用する経営指針実践勉強会を行っています。成熟度レベルが低い、特に自社の課題である点をピックアップし、次年度の指針書でどう改善するかを学びあい、実践できる改訂をめざしています。

 3年発表すれば続けざるを得なくなり、10年経って同友会型企業がさらに増えることが目標です。

「中小企業家しんぶん」 2017年 2月 15日号より