円相場とGDP

 トランプ大統領の側近の動きから、第2のプラザ合意をねらっているとの報道があります。ドル安誘導とは円高になるということですが、過去のドルと円との為替相場を見てみると、1941年から1971年まで固定相場制で1ドル=360円と相対的に大幅に安い円のおかげで高度成長が支えられたことが伺えます。1971年ニクソンショックから1ドル=308円、1973年に変動相場制に移行し1ドル250円から300円台でまだ比較的安い円相場で経済成長を続ける中、アメリカは日本に対して、膨らんだ貿易赤字を減らすために1985年プラザ合意(ドルを下げるが暴落させない)で一気に円高に突入します。1985年に1ドル=238円から3年後の1988年に1ドル=128円と倍近くの円高に。プラザ合意をうけた結果、銀行がドルを借りて大儲けし、これがバブルの要因となります。

 その投資で日本中が土地バブルに(85年に1億ドル借りて238億円で銀行が土地を買えと言い、それを銀行が88年に返すと128億円返済で1億ドル返済になると110億円の儲けに)。このバブルのおかげで90年まで名目GDP7%と高成長をしますが、しかし89年土地高騰対応として日銀がこのときの主な金融政策である公定歩合を2.5%から5回で6%に引き上げただけで90年に株が大暴落し、結果として日本は1991年バブル崩壊、長期不況に突入しました。1991年バブル崩壊から表にあるように円高で日本の成長率はマイナスを含む低成長に、そしてリーマンショックの2009年からさらに100円割れの円高で2011年・2012年と79円台にまで円高が進みました。今後再び80円になるようなら、リーマンショックでマイナス6%まで落ち込んだ以上の影響を想定しておく必要が見えるデータです。

表 円相場とGDP伸び率

「中小企業家しんぶん」 2017年 6月 25日号より