社員の成長こそが会社発展の源泉 (株)シティーライン 代表取締役 田浦 通氏(福岡)

【採用と教育】

 九州各県に営業所を展開し、企業や医院を対象とした荷物の運送を扱う(株)シティーライン。小回りの良さを生かした迅速な配達と、配送のみならず商品の在庫管理まで扱い、トータルで物流コストを削減する提案など、強みを生かして大企業との差別化を図っています。

 「社員の成長こそが会社の発展につながる」を信条としている田浦社長。1983年に創業した当時は会社を大きくすることを意識しすぎるあまり、5年後に11人いた社員の5人が同時に退職という経験をしました。途方に暮れた田浦社長は知人に紹介されて福岡同友会に入会、経営指針作成セミナーに参加して会社の将来ビジョンの大切さに気づきました。

 作成後に社内で開催した経営指針発表会で、社員の将来の待遇に関する方針について話した時、社員の目つきが変わりました。そこから共に育ち合う“社員共育”として目標の共有を図ることに努め、現在に至ります。

共に育ちあう「成長の認定式」

 新卒採用にも2009年から毎年取り組んでいます。新入社員の入社時期が繁忙期と重なるなど、受け入れ体制を整えるのも簡単なことではなく、試行錯誤を重ねてきました。2016年から入社1年目には社員の頑張りを称えねぎらう「成長の認定式」を開催。社員の両親も招待し、みんなで育っていこうという姿勢を確認しあう機会となっています。

企業内託児所開設で女性活躍のきっかけに

 また、本社のある福岡県志免(しめ)町は福岡都市圏のほぼ中心に位置し、福岡市のベッドタウンとして人口が増加している地域で、待機児童などの課題も抱えています。働く意欲のある女性が活躍できる場を広げたいと、2017年4月から企業内託児所を開設、新規でパート社員5名の採用につながりました。パート社員の研修も3カ月に1回実施し、モチベーションアップをめざしています。将来的には女性ドライバーの育成を視野に入れた体制、仕組みづくりも意識しています。

パートナードライバーさんとの信頼関係も大切に

 きめ細やかな配送体制を維持していくために、パートナードライバー(PDさん:業界用語で傭車(ようしゃ)と呼ばれる配送トラックの運転手のこと。シティーラインでは「共に働くパートナー」という思いを込めてこのように呼んでいる)との関係も重視しています。約200名のPDさんとも定期的に情報交換会や勉強会などを行い、経営理念や方針の共有を図っています。配送だけに留まらないサービス展開をしているため、接客態度など顧客からの要望も厳しく、「共育」の姿勢でさらなる品質向上をめざしています。

(株)シティーライン 会社概要

設立:1983年
従業員数:120名(パート含)
資本金:2,500万円
事業内容:納品代行、物流管理代行
所在地:福岡県糟屋郡志免町別府北2-7-7

「中小企業家しんぶん」 2018年 3月 5日号より