キャリア教育の可能性「官×民×創×論2018」【長崎】

 2013年12月、長崎同友会8支部内で最初に中小企業振興基本条例の制定を成し遂げ、そこで規定されている中小企業振興会議に構成委員として深くかかわっている長崎同友会大村支部。その7月例会「官×民×創×論2018」がテーマ「キャリア教育の可能性」を掲げ、市役所・教育委員会職員や今後条例制定をめざす他支部会員を含むゲスト参加約30名、会員含む出席者約100名で開催されました。

 この例会は3年連続となる試みで、市長を報告者の1人として招聘し、各年のテーマに沿った報告者を加えたパネルディスカッション形式による例会です。

 今年は愛媛同友会米田代表理事を報告者の1人として招き、いくつかの事例紹介など含め報告がありました。今回のディスカッションで同友会側から、「振興条例に『学校教育の充実』についての条項追加を」との呼びかけに対し市長からは「未来の子どもたちやひいては地域のために条例改訂を視野に入れたい」との前向きな返答がありました。

 大村市中小企業振興会議は商工会議所や同友会といった経済団体から、金融機関や学識経験者、その他市長の指名する者を含む総勢19名で構成され、2年前からはその役割強化をめざした組織進化論を同友会から提案し、その結果として、課題研究および実働部隊となる専門部会が3部会設置。現在ではその中心メンバーとして同友会会員の活躍があります。

 前述の大村支部例会は、同友会ビジョンと照らし合わせ、未来を予測し地域経済を牽引(けんいん)する同友会の役割、そして会員が企業家としての使命を確認すると同時に、それをわれわれだけではなく行政やあらゆる機関と連携し解決を図っていくことを決意する場となっています。ここで洗い出された問題点などを振興会議の検討事項として提出し、メインテーマとして討議され、案件によってはすぐに市長への提言がなされ、翌年の振興策などとして施行されるものもあります。求めあう関係から与えあう関係へ。官と民の関係を深めるための接着剤的役割が振興会議にはあります。

 われわれが、この条例制定からはじまる地域づくりのための具体的活動に主体者としてかかわり続ける覚悟を持つことが何より肝要だと思います。

 これからも「国民や地域と共に歩む」同友会運動の効果的波及のために、会員個々人が優れた会社経営者に留まることなく「地域の牽引(けんいん)者」としても社会的存在感を高めていきたいと思います。

(株)大幸企画 代表取締役 長崎同友会政策委員長 時 忠之

「中小企業家しんぶん」 2018年 8月 25日号より