景況調査とプレスリリースを実施【中同協関西ブロック合同調査】

 中同協関西ブロック(滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)では、8月~9月に合同で景況調査を実施し、10月16日にはその結果をもとに報道機関に向けて合同プレスリリースを行いました。

 合同での景況調査は2015年につづき3年ぶり3回目となり、売上動向、利益動向ならびにその要因についてたずねるとともに、特別項目として(1)消費税増税による経営への影響と対応、(2)著しい採用難の中での人材の確保と定着についても会員企業の現状を調査。最終的に6同友会で1532件の回答が得られ、集約結果は各同友会でとりまとめるとともに、大阪同友会産業構造研究会(産構研)において合同調査判定会議を行い、指標から読み取られる傾向と、自由記述回答の内容や実際の経営現場で体感する状況とを合わせて議論が行われました。

 プレスリリースには新聞社10社が参加。産構研の田中幹大教授(立命館大学)が調査結果の概要を報告し、業種別格差はあるものの全体的に製造業を中心にDI値が改善傾向である一方、消費税増税の影響が懸念されると指摘しました。増税の影響として駆け込み需要増加(27・8%)と売上減少(24・1%)や購買意欲の減少(21・4%)の回答率が高いことを受け、2014年の増税の際には売上や利益が1年かけて下がり、元の水準へ回復するまで2~3年かかったという経験から、需要の乱高下が懸念されていること、また人手不足による倒産・廃業も増加しつつあるなかで、増税が重ねてインパクトを与え得ることなどに触れました。

 また各同友会の代表理事から、調査結果とともに具体的な企業経営の取り組みや業界動向について紹介がありました。

 人材が「充足していない」と回答した企業割合は63・3%に上り、採用と定着のための労働環境改善(54・5%)や教育への投資(35・9%)などを図っている現状を報告。その後、記者からの質疑応答を受けて具体的な企業努力の様子を紹介するとともに、動向が注目される就活ルールについては堂上勝己・大阪同友会会長が「中小企業は雇用の7割を占めており、就活ルールの検討においても中小企業の意見が反映されるべき」と言及しました。

 今回の調査期間中には台風21号が関西地域を通過。関西ブロックでは急遽、その被害照会も合同で取り組み1240件の回答を得ました。社屋や工場などの被害のほか、空港や物流機能の麻痺による間接被害の深刻さや、サプライチェーンの枠組みのなかで社員の安全確保と安定生産の間で難しい判断を迫られる実態などが浮き彫りとなり、プレスリリースではそのような中小企業における災害対応の課題についても報告しました。

「中小企業家しんぶん」 2018年 11月 15日号より