デジタル貿易の拡大~国境を越えるデータの取引

 経済産業省の2018年版通商白書では、デジタル貿易の拡大について取り上げています。世界の貿易の発展は3段階に分類できるとのこと。第1段階は単純な国境を越えての商品などの移動、第2段階はグローバル・バリューチェーンでの国境を越えて生産ラインや工程を分けて中間財などが移動し、最終的に組み立てや消費地なども越境する段階です。これは現在、新興国を中心に世界のさまざまな国や地域で広がっています。第3段階としてあらたなデジタル貿易が生まれ、飛躍的に拡大していくとしています。

 デジタル貿易の定義は定まっていませんが、米国国際貿易委員会(USITC)は、デジタル貿易を、「製品やサービスの注文、生産、配送において、インターネットやインターネットをベースとした技術が特に重要な役割を担う貿易」と定義していますが、それよりも広い範囲がデジタル貿易といわれています。たとえば、国を越えてのネットショップ、ホテル予約サイト、ライドシェア、オークションサイト、アプリやデータ販売などがあり、いわゆる国を越えてのシェアリングエコノミーも含まれるものと考えられます。

 世界のデジタル貿易、越境EC市場規模や利用者数は急激に増加しています。2014年には利用者は3.1億人で市場規模2,360億ドル(1ドル=110円換算で約25.6兆円)でしたが、2018年には7.5億人、6,750億ドル(約74.2兆円)と約3倍となっています。2020年にはさらに増加が見込まれており、利用者は9.4億人、市場規模は9,940億ドル(約109兆円)と推測されています(表)。

「中小企業家しんぶん」 2018年 11月 25日号より