呉の中小企業を知ろう!高校生と保護者のための就職ガイダンスを初開催【広島】

【変革と挑戦―各同友会の実践事例から】84

 広島同友会呉支部は5月19日に「呉の中小企業を知ろう!高校生と保護者のための就職ガイダンス」をオークアリーナにて開催しました。当日は、会員と会員外企業合わせて100社が、自社PRしました。

 本行事は呉市が共催、呉市教育委員会・呉商工会議所・呉広域商工会が後援のもと、呉市内の各高校の協力のおかげで、当日は約500名の来場がありました。

約30年間の積み重ね

 呉支部は、1990年に求人委員会を立ち上げました。その後、呉工業高校の生徒を採用したいという思いから「高校の先生方の企業見学(5月)」と「高校の先生方と経営者との懇談会(5月と10月)」を共同求人活動の一環として、約30年にわたり続けてきました。

 今では呉市内の高校に認知された取り組みとなり「同友会の企業なら安心して生徒を送り出せる」と評価されるまでになりました。

 一方で、中小企業の知名度不足や、高校生の就職における決定権は保護者にあることなどは、ミスマッチの原因にもなっており、教員と経営者との懇談会でも話題の1つになっていました。

 その中で、2017年10月に、呉支部の地域内連携推進委員会が呉港高校の体育館でビジネスマッチングを開催しました。実験的な試みでしたが、29社が出展し、来場した同校の生徒、保護者、地域の人たち、教員など141名に、中小企業の魅力を伝えました。アンケートには「若い人が将来呉市に残って働く契機となるため続けてほしい」とありました。

地域で若者を育て、地域に若者を残す

 これまで積み重ねてきたことと、10年前から高校ガイダンスの取り組みを始めていた宮城同友会の事例を、高校の校長でつくる校長会に伝え、「中小企業を知っていただく機会をつくりたい」ことを相談しました。呉市と呉市教育委員会とも情報交換を行い、日程と会場が決まりました。

 ガイダンスの目的は次の通りです。「地域で若者を育て、地域に若者を残す。(1)呉の中小企業を地域の高校生に知ってもらいたい、(2)保護者の方にも知ってもらいたい、(3)呉で暮らし、呉で働くきっかけにしていきたい」進学で呉市外に出た高校生が、卒業後、就職のために呉に帰ってくるきっかけづくりの場にもしたい、ということでした。

 「高校生と保護者のための就職ガイダンス」はこれまでの地道な努力の結集といえます。

あっ!こんな会社があったんだ

 当日の開会式では、相川呉支部長が「呉にはすごい企業がいっぱいあります」とあいさつ。続いて共催の呉市から新原芳明・呉市長が「呉市にとって意味のあるイベントです」とあいさつしました。

 来場した生徒からは「業種を絞らず回ったが、興味が湧いた」、教員からは「生徒の目の色が変わった。就職活動の意識づけになった」、「あの企業で働きたいという生徒もいた」などの感想が寄せられました。

 企業からは「会社を知ってもらう一環になればと思う」「今日の出会いが何かの役に立つことができたとしたらうれしい」と感想がありました。

 中小企業憲章には「中小企業は社会の主役」と記されています。学校教育では「中小企業の新しい変化」と題した項目を設けた高校生向けの教科書が出版されるなど、中小企業への社会的な期待が大きくなっています。

 呉支部では、本ガイダンスが地域の中で自社の存在意義を見つめ直す場となり、他方では、学校教育の一環となるような取り組みになるよう続けていく予定です。

「中小企業家しんぶん」 2018年 12月 5日号より