最近のサービス消費の動向

 2018年8月「平成30年度年次経済財政報告」、いわゆる経済白書が発表されました。景気回復の現状と課題で、サービス消費の動向を考察しています。

 サービス消費の2012年と2017年を比較して増加品目を見てみます。最も増加しているのは、通信費で約2.3兆円増、スマートフォンやタブレット端末などが普及し、1人で複数台を所有する人が増えたことから通信費が年々上昇しています。外食費は約1.5兆円増。白書では、居酒屋が売上減少の反面、単身世帯や共働き世帯が増え、ファミレスやファーストフード店が高く伸びたと分析しています。またSNSやスマホの普及もあいまって、食べ歩きの関心が高まり外食産業を押し上げているとのこと。旅行・レジャーについても外食と同様に、SNSでの観光スポットの紹介などが影響していることが推測できます。

 一方で、家賃が約0.6兆円減少しています。一部で地価が上昇しているとのニュースもありますが、人口減少や空家問題などで家賃が下がっている可能性もあります。またこの間の住宅ローン減税や低金利で持ち家も多くなっているともいえます。そのほかの減少では教育・月謝、自動車等維持費です。白書では、eラーニングの利用率も若年層を中心に非常に伸びているとの記述もあり、スマホやPCで勉強する時代がきたのかもしれません。自動車等維持費については、エコカー減税などもありハイブリッドカーや電気自動車、低燃費の自動車が普及したほか、カーシェアリングの普及も要因として考えられます。カーシェアリングの車両台数と会員数は2009年にほぼ0でしたが、2018年には約3万台で、会員数は130万人にも及んでいます。所有から共有(シェア)のシェアリングエコノミーは今後も消費動向に影響が大きいと考えられます。

表 最近のサービス消費の増加品目(兆円)

「中小企業家しんぶん」 2018年 12月 25日号より