先を読める経営者になろう 愛知景況の過去、現在、未来景況調査 25周年式典【愛知】

 2月26日に、愛知同友会は景況調査の歴史を紐解く25周年記念式典を名古屋マリオットアソシアホテルで開催し、会員企業をはじめ行政や他団体を含む192名が参加しました。

 開会あいさつで経営環境調査委員長の太田厚氏は、日銀短観の前に行われ、現場情報で検証される愛知同友会の景況調査の特徴と、過去のデータから現在と未来を読み解く分析の意義を伝えました。

 記念講演は「平成の景気を振り返る」をテーマに、景況分析会議の座長を務めてきた立教大学名誉教授の山口義行氏が登壇。山口氏は平成の10年ごとの時代背景を分析し、金融機関の貸し渋り・貸し剥がしに端を発した金融アセスメント法制定運動など、同友会の活動の足跡を振り返りました。その間の歴代委員長からのビデオ動画も上映され、学びながら具体的に行動してきた事例が紹介されました。

 次に摂南大学教授の野長瀬裕二氏、愛知同友会から(株)加藤設計代表取締役の加藤昌之氏、(株)NANAIRO代表取締役社長の白砂祐幸氏によるパネル討論が行われました。

 野長瀬氏は、リーマン・ショック前の経済環境に酷似してきたと指摘。M&Aに晒される日本企業への危惧を示し、最先端企業にかかわっていく戦略が鍵だと言及しました。加藤氏は、今の建設業界の状況がバブル時代を彷彿させると報告。金融機関の不祥事の影響や今後の市場の動向、ゼロエネルギーオフィスの試みなどを紹介しました。白砂氏からは障害者雇用を切り口に、多様な個人の能力に着目する発想に転換し、その人に合った仕事をつくり出してきた実践模様を報告しました。

 閉会あいさつで加藤明彦・愛知同友会会長は、情勢認識を深めるためには危機感が必要であると述べ、長期展望を描くためにも数値で世の中を把握し社会変化を掴んだ経営をしていくことを呼びかけました。

「中小企業家しんぶん」 2019年 4月 5日号より