「ほんとにいいの?消費税率引き上げ」消費税の学習討議資料を作成【福岡】

 福岡同友会は2019年10月1日に予定される消費増税に向けて、3月27日に沼田道孝氏((株)第一経営相談書相談役、中同協税制プロジェクト委員長)を招き、学習会を開催。学習会の内容を含め、消費税学習討議資料を作成しました。

 作成した討議資料「ほんとにいいの? 消費税引き上げ」は、(1)2019年10月から、消費税率は8%から10%に、(2)軽減税率の影響、(3)適格請求書等保存方式(インボイス)制度導入の影響の3つの柱で構成されています。

 まず、「(1)2019年10月から、消費税率は8%から10%に」では、景気は後退局面にあるとして小松善雄・元東京農業大学教授や藤井聡・元内閣官房参与・京都大学大学院教授の言葉を引用し、日本経済の成長軌道の損失や1世帯あたりの年間消費額の減少など消費増税後の影響を警告しています。

 「(2)軽減税率の影響」では、酒類を除く食品表示法に規定する飲食料品および新聞に軽減税率が適用されることなど軽減税率の複雑さについて解説。軽減税率8%と標準税率10%が適用される飲食料品の一覧を掲載しています。

 「(3)インボイス制度導入の影響」では、インボイスの概要と主旨・背景、その対応がまとめられています。インボイスとは税務署から登録を受けた課税事業者が発行する要件を満たした領収書のことで、今後は課税売上に対する消費税額から課税仕入れなどにかかる消費税額を控除して、納付する消費税額を計算することになります。現在の申告納税制度が根本から変わり、仕入れ関係の再構築が行われる可能性があります。161万社がインボイスを機に課税事業者になり、2480億円の税収見込みと財務省は試算しています。

 4月19日に行われた福岡同友会の理事会では新内一秋・福岡同友会代表理事が「(1)討議資料を活用し、各組織で内容を学習してほしい。(2)参議院選挙立候補者に向けて要望書を送ること。(3)特にインボイス制度については、対象となる企業へ知らせて対応を促すこと」を呼びかけました。

「中小企業家しんぶん」 2019年 5月 25日号より