同友会事務局に求められるものを考える 全国事務局員研修会【中同協】

 中同協は7月17~19日に東京で2019年度全国事務局員研修会を開催し、14同友会からアドバイザーを含め34名が参加しました。

 第1講では「新事務局員に伝えたいこと」をテーマに、田山謙堂・中同協顧問から報告がありました。田山氏は1958年に同友会に入会し活動してきた経験から同友会理念や「中小企業における労使関係の見解」(労使見解)作成の背景と自身の思いを報告。事務局は同友会運動にとってかけがえのないパートナーとして、「求められるものは大きく多々あるが、経営者から謙虚に学び、互いに信頼関係を築きながら運動を発展させてほしい」と事務局への期待を述べました。

 第2講では「同友会の歴史と理念―中同協50年史を紐解く」と題し、国吉昌晴・中同協顧問が報告しました。7月に発刊された『中同協50年史』の内容にも触れながら、同友会の歴史、特に前史について詳しく解説。「事務局の立場で『労使見解』を実践してほしい。そのためにも、会員の実践をよく聞き広げていくことが重要」と話しました。

 2日目の第3講では「情勢認識と同友会事務局の役割」として、林隆史・東京同友会事務局長が報告。林氏は冒頭「事務局から事務を取ったら何が残るのか」と提起し、豊富なデータに基づいて世界と日本の情勢を報告。「同友会理念は変わらないけれど、時代に応じて活動は変わっていく。しかし、よりよく変えられる。情勢を会員、事務局で語り合ってほしい」とまとめました。

 第4講では、2018年10月に築地から移転した豊洲市場で水産業務に関する箱・ケースや消耗品などを取り扱う東京魚類容器(株)を訪問し、原周作代表取締役(東京同友会会員)から報告がありました。原氏は「やり方よりもあり方が大事である」と気づいたと話し、同友会の活動を通してさまざまな実践を行う中で、経営者としての姿勢や社員の働きやすい環境をつくってきたことを報告しました。

 3日目は「同友会事務局で働いてみて」と題して田中孝浩・千葉同友会事務局員が報告。田中氏は会員訪問を通じて経営課題を把握し、それを事務局で集約することの重要性を指摘し、事務局が会員訪問を積極的に行えるようにするために事務局の業務改善などを行っていることを報告。また、会員が各支部での取り組みを共有し、会外に同友会の活動を周知するために広報誌の誌面刷新に取り組んだことなども報告しました。さらに中小企業振興条例の意義を学んだ経験から事務局の仕事が社会のためになっていることが事務局員としてのやりがいであるとの報告もありました。

 研修会では、各講義の後にグループ討論と発表を行いました。

 最後に、参加者全員から3日間を通して学んだことと自身の課題を発表しました。参加者からは3日間の研修を通じ、日常の業務の中ではなかなか振り返ることのできない同友会運動の意義を改めて認識できたこと、また全国で同友会運動に従事する仲間がいることで自信が持てたなどの発言がありました。

 その後、平田中同協事務局長から研修会のまとめを含めたあいさつがあり、閉会となりました。

「中小企業家しんぶん」 2019年 8月 5日号より