人の人生に向きあう誇りある仕事 (株)フレアス 代表取締役社長 澤登 拓氏(山梨)

【あっ!こんな会社あったんだ】 障害者問題

 企画「あっこんな会社あったんだ」では、企業経営にかかわるさまざまな専門課題に取り組む企業事例を紹介。今回は「障害者問題」をテーマに、(株)フレアスの実践について紹介します。

 在宅マッサージを提供する(株)フレアス。視覚障害者のあんまマッサージ指圧師と70歳を越えるシルバー人材のドライバーが1組になって利用者を訪問しています。視覚障害者も正社員として雇用されていて社会的に弱者とされる人々がそれぞれのチカラを発揮し、同社の障害者雇用率は12%を超えています。

 澤登氏が同社を創業したのは2000年。鍼灸マッサージ師の国家資格を取得したものの業界全体の待遇が低く、「仕事は見て覚えろ」といった職人気質の強いことに疑問を感じ、訪問マッサージでの起業を考えました。実家の一室でのスタートで、経営者として悩んでいる時に同友会に入会します。先輩経営者と学びあい、経営理念「人と人とのふれあいを大切にし社会貢献するとともに、社員の物心の幸せを追求する」を成文化します。

 訪問マッサージは「人の人生に向きあう誇りある仕事」として、入社初年度に100時間、2年目に75時間など徹底した社員教育制度を設けています。研修以外でも施術者10人に1人の割合でトレーナーをつけて技術とサービスの向上に努め、2017年には星野リゾートと提携し、質の保証と向上を図っています。

 利用者には関節や筋肉が固まって、足を動かすことや唾液を飲み込むことができなくなるケースが多々あります。その固まった関節の筋肉や腱をマッサージすることで運動機能の回復や関節の可動域の拡大につながります。実際に寝たきりでひざ関節が曲がらなくなった患者が座れるまでに回復したこともあります。そうしたサービスを受けた利用者からは自然と「ありがとう」と感謝の言葉が出てきます。働く人もサービスを受けた人も「人生捨てたもんじゃない」、またはお互いに「ありがとう」と感謝する「時間の価値の最大化」をめざしています。

 経営ビジョン「全国津々浦々に1人でも多くの方に速やかにフレアスのサービスを提供し、日本の在宅事情を明るくする」のもと、全国へ拠点を展開し、現在は39都道府県、97拠点まで広がっています。しかし、全国の在宅医療難民の解消に向けては全国で約800事業所が必要なため、新たにフランチャイズ事業を開始しフレアスの社会貢献の理念に共感できるビジネスパートナーを募集中です。

 今後も入院日数の削減などで在宅の高齢者は増えていきます。社会的に弱者とされる人々が主体性をもって活躍するビジネスモデルをさらに広げ、多くの人が輝く社会をめざしています。

*フランチャイズの問いあわせは、電話または公式HPまでご連絡ください。

TEL:0120―14―2013(同社執行役員・川久保次朗氏)

会社概要

設立:2002年
資本金:3,000万円
年商:46億円
従業員数:617名(パート・アルバイト含む)
事業内容:訪問マッサージ業、訪問看護事業
所在地:山梨県中巨摩郡昭和町西条1514番地(山梨本店)
URL:https://fureasu.jp/

「中小企業家しんぶん」 2019年 10月 5日号より