【連載】SDGsをどう生かすか~第3回 SDGsのベースにある人権尊重 一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)

 本年の全研第2分科会や定時総会第2分科会のテーマになった「SDGs」。

一人ひとりの人権を実現する同友会の企業づくりと多くの共通点があります。その概要について連載します。

 前々回の「SDGsって何?」の中では、「誰ひとり取り残さない」というSDGs(持続可能な開発目標)の基本理念があることを紹介しました。この「誰ひとり取り残さない」が記された「われわれの世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」では、「人々の尊厳は基本的なものであるとの認識の下に、目標とターゲットがすべての国、すべての人々および社会のすべての部分で満たされることを望む」と謳(うた)われています。

 考えてみれば、貧困、飢餓、保健、教育、ジェンダー、労働、水、生産と消費、エネルギー、気候変動といったSDGsの「目標」は、どれも「人が生きること」に直接・間接にかかわっています。つまり、SDGsのほとんどの課題は人権とかかわりがあることがわかります。これだけでも、SDGsのベースには人権尊重があることに納得することができますが、「2030アジェンダ」はさらに具体的に次のように述べています。「人権、人の尊厳、法の支配、正義、平等および差別のないことに対して普遍的な尊重がなされる世界」をめざすべきであり、「人種、肌の色、性別、言語、宗教、政治や信条、国籍や社会的出自、貧富、出生、障害などの違いに関係なく、すべての人の人権と基本的な自由を尊重、保護、促進する責任をすべての国が有する」と。

 みなさんの企業では、人権に関してどのようなことが課題になっているでしょうか。 さまざまな人が働く職場の労働の問題、例えばハラスメントやワークライフバランス、あるいは障害者への合理的配慮かもしれません。SDGsでも、「2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性および女性の、完全かつ生産的な雇用および働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する」と目標8のターゲット5で掲げられています。

 これらは同友会理念が掲げる「人間尊重の経営」とも無関係ではありません。次回の最終回では、この同友会理念にも触れながら、SDGsをどう生かすかを考えていきます。

「中小企業家しんぶん」 2019年 10月 15日号より