【変革と挑戦】理解を深め、広げるための工夫と仕組みづくり~自社にとって学べる女性部とは~

広島同友会女性部の歴史

広島同友会女性部は1975年に経営者を対象とする「婦人部会」として発足しました。1985年から女性経営者と経営者夫人に対象範囲を広げました。そのことで立場の違いにより、興味の対象や学習のテーマが異なることが明確になりました。そこで、従来の「婦人部会」を解散して1989年に学ぶ意識が強い人を対象とした「婦人部」を新設しました。1993年に「女性部」と改称、その前後で福山、呉、尾道の各支部に女性部が設立されていきました。

発足から25年を超える活動の積み重ねを経て、2000年には女性部出身の代表理事が誕生し、2005年に女性部会創立30周年宣言「元気な女性が広島の将来を拓く」を発信しました。2007年には女性部独自に中小企業経営と介護問題について学び、2014年に女性だけの経営指針塾開始を経て2019年に第22回女性経営者全国交流会を開催し、現在に至ります。

女性部を理解してもらうための取り組み

広島同友会女性部の組織は、広島エリア、福山支部、呉支部、尾道支部にそれぞれ女性部があり、それをまとめる県女性部連絡協議会という構成となっています(広島エリア女性部はさらに4つの支部女性部で構成)。支部による独自性をもった組織を継続させていくため、「つながる つづける つむぎあう」をテーマに活動しています。

女性部に対する評価は「どんなことをしているのかわからない」「怖い」「妻(幹部)を女性部に入れたいと思わない」など、中には厳しい声もありました。女性部会でその理由を深めたところ、「分からないから怖いと感じ、思考停止状態になっているのではないか」という結論に至り、理解してもらうためにあらゆる場面で具体的に伝えるよう努めました。その一環として広島同友会の第7次中期ビジョン(2019―2023)に女性部の存在意義を組み込んだことは、女性部創立から45年で初めてという画期的な取り組みでした。

広島エリア女性部での実践事例

支部女性部の具体的活動の一例として、広島エリア女性部の取り組みを紹介します。女性部の活動について聞かれても女性部の役員が答えられないという現状だったため、役員を中心にSWOT分析をして整理をしました。その内容を「女性部会で出逢える3つの宝」としてクレドにまとめ、名刺大の用紙に印刷し活用しています。また、役員会の中でも積極的に発言する人とそうでない人がいるため、ツールなどを利用して発言しない人の意見も聞くことができるよう工夫して進めたり、リーダーが交代しても活動を引き継ぐことができるよう、女性部活動の柱を据えるといった取り組みも並行して行いました。その成果もあり、2019年度は15名(年間目標20名に対し)の女性部会員増(9月現在)につながりました。また、広島同友会の目標2700名達成のための一助になっています。

部会活動をきっかけに同友会活動にかかわって経営力が高まったという実感を持つ女性が増え、企業経営を語れる女性が増えていくことを視野に日々活動を展開しています。

(2019年9月2~3日 2019年度第1回中同協女性部連絡会実践報告より再編集)

「中小企業家しんぶん」 2019年 12月 15日号より