世界と日本の持続可能性が問われている~2020年の年頭社説を読んで

2020年の幕開けです。毎年の恒例ですが、新聞の年頭の社説を読み、年の課題を占ってみます。

各社タイトルから。「平和と繁栄をどう引き継ぐか」(読売新聞)。「2020年代の世界『人類普遍』を手放さず」(朝日新聞)。「あきらめない心が必要だ」(毎日新聞)。「次世代に持続可能な国を引き継ごう」(日本経済新聞)。「政権長きゆえに尊からず」(産経新聞)。「誰も置き去りにしない」(東京新聞)。

朝日新聞と東京新聞がSDGsの話題です。SDGsとは、国連の「持続可能な開発目標」です。貧困、教育、気象変動など17の「普遍的な」目標を掲げ、2030年までに「われわれの世界を変革する」試みとしています。

今年の中同協総会議案では、「持続可能な開発目標(SDGs)を学ぶ」として、「同友会の『人を生かす経営』や環境経営の取り組みに確信を持ち、企業としてのあるべき姿を深める同友会が出てきました」と紹介しています。

そこでの合言葉が「誰1人も置き去りにしない」ということです。置き去りにされなければ、次世代の誰もが平等に、尊厳と希望を持って生きられる。そういう社会が次々に循環するというイメージです。東日本大震災に立ち向かう岩手同友会の合言葉「1社もつぶさない、つぶさせない」を彷彿とさせます。

地方紙のタイトルはそれぞれが時代性を表現しています。「多様性の時代に/相互理解と協調への礎を」(北海道新聞)。「災害多発の世紀/安全こそが豊かさの基礎だ」(河北新報)。「新しい年に/『縮小社会』生き抜く知恵を」(京都新聞)。「視界不良の時代/先人の歩みに未来のヒントが」(神戸新聞)。「流されず足元見据えて/縮む社会の先に」(中國新聞)。「新年を迎えて/分かちあえる世の中に」(南日本新聞)など。

てんでバラバラのようで、実は共通するテーマが流れているようです。つまり、先が見えない時代に世界と日本の持続可能性が問われているのではないかと。

北海道新聞は「難題にどう対処する」として、イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ氏が著書『21 Lessons』で警告しているのを紹介します。「『人類はグローバルな協力を通してしか解決のしようがないような、3つの共通の難題に直面している』。難題とは核戦争、気候変動、生物工学などの技術革命だ。いずれも『世界を滅亡に導きかねない』差し迫った課題であることは明らかだろう」(同紙)と。

難問に、国境を越えて対策を講じなければならないが、実際にはますます難しくなっていく。どうするのか。

「目先の自己利益ばかりを追い、他国との協調に後ろ向きなリーダーたちには、もう任せておけない。そんな意識が世界中の若い世代に広がっている」(同紙)として、影響をより多く受ける若者に注目しています。

そのような社会をどう実現するか。年頭に考えるのも大切なことです。

(U)

「中小企業家しんぶん」 2020年 1月 15日号より