国際観光はどうなる?世界の国際観光客数は15億人

国連の世界観光機関(UNWTO)は2月21日に世界観光指標をプレスリリースしています。2019年の世界全体の国際観光客到着数は15億人を記録しています。前年の約14億人から4%増となり、10年連続の成長を見せています。

しかし、報告では、「2017年および2018年の顕著な成長と比較すると、英国のEU離脱の不確実性、トーマス・クック社の破綻、地政学的および社会的な緊張ならびに世界経済の減速のすべてが、2019年の成長の鈍化に影響を与えた。この減速は、おもに先進国・地域、特にヨーロッパやアジア・太平洋に影響を及ぼした」とあります。

この時点で、新型コロナウイルス感染症の世界的な観光における影響は反映されていません。2018年の国際観光のデータを見てみますと、国際観光輸出統計は、実に1兆7,000億ドル、1ドル=110円で換算すると経済効果として世界で約187兆円にもなります。この順調に成長してきた国際観光に今後、新型コロナウイルスの影響が懸念されています。

国や地域別に見てみますと、日本は2019年、訪日外国人旅行者は3,188万人、うち中国からは約959万人となっています。出国した日本人数も2008万人となり年々増加しつつあります。2018年の中国からの外国へ出国者数は約1億5,000万人となっています。

リーマンショックの影響のあった2009年には前年対比で国際観光到着数マイナス4%、観光収入でマイナス5%となっています(図)。世界全体がグローバルに移動する昨今、世界が近くなり、ビジネスや交流、観光が活発になる中で、改めて防疫の観点の重要性を感じます。

図 国際観光客到着数および観光収入

「中小企業家しんぶん」 2020年 3月 25日号より