新型コロナの同友会への影響調査「1社もつぶさない、つぶさせない」WEB緊急例会、政策要望・提言など【中同協】

3月は6割の会合が中止・延期

新型コロナウイルス(以下、コロナ)感染拡大防止に向けた対応では、2~3月にかけて多くの同友会が活動を自粛、中止・延期等の措置をとっており、同友会自身がかつてない事態に直面しています。現状を共有し、課題を明確にしていくために中同協として影響調査を行い、このほどまとめました。例会中止などで活動が制限されつつも「1社もつぶさない」覚悟で対応している様子がうかがわれます。

中同協では3役会を新型コロナウイルス対策本部と位置づけ、同友会として3月の活動が新型コロナウイルスの影響をどのように受け、それに対応しているか、現状把握と課題の明確化のために3月13~24日にかけて「新型コロナウイルスが同友会運動に与える影響調査」を実施し、47すべての同友会から回答が得られました。

全国47都道府県の同友会で予定されていた正式会合のうち、中止・延期となった会合は64%にのぼりました。また実施された会合においても、同友会の特長でもあるグループ討論や懇親会は実施しないなどもあり、従来の活動が大幅に制限されています。

一方でWEB会議システムなどを使い、緊急例会を実施するなど工夫もされています。ヒアリングでは4~5月は各同友会でも総会実施期にあたりますが、それも延期する同友会が多くなっています。活動再開にあたっての基準やめどを検討しつつも、先行きが見えない中で、模索している状況にあります。

各同友会で対応方針、ガイドラインなどを確立

同友会としての取り組みでは、コロナ感染拡大防止に向けた対応方針を確立し、会合の開催判断や事務局対応を決め、まず全会員に通知しています。

メール配信システムやe.doyuなどを使い、会員に向けた代表理事メッセージや中同協会長談話、施策情報なども配信しています。また、影響調査やヒアリングを実施し、中小企業の現状をマスコミに配信したり、政策要望・提言としてまとめ、自治体や金融機関と懇談を行うなどこれまで中小企業振興基本条例などで培ってきた、連携を生かした活動も旺盛に行われています。

2カ月を超える例会の中止・延期も

感染拡大防止に向けた会合などの中止・延期(正式行事)の期間は、最長で愛知の2月25日~4月30日で、静岡、鹿児島、山梨などがそれに続き、2カ月にわたり行事ができない同友会が増える傾向にあります。コロナの影響が深刻な会員にとってその経営課題にどのように寄り添い、励ましあうか、課題となっています。

3月の正式会合数は47都道府県2331のうち1490(64%)が中止または延期となりました。

「原則中止」という同友会と、支部長や委員長、小グループ長などの「リーダーの判断」で決める同友会があります。

キャンセルに伴う予定外の支出は555万円に上りましたが、一方で673万円削減されています。予定外の支出は直近の懇親会費など別途収入を予定していたもので、削減されたのはキャンセル料の支払いにとどまった会場費や諸経費などです。

WEB利用し緊急例会など

会合に替わる対応としては、インターネットを活用したWEB会議システムやSNS、動画・音声配信サービス、小規模化での実施や個別有志による情報交換など工夫しています。

本格的なフェイス・トゥ・フェイスの対応ができない状況にある中、過去のリーマンショックや大震災、台風被害から立ち上がってきた経営者のメッセージを動画で伝えるなど「1社もつぶさない」努力がされています。

3月24日現在コロナを理由とした退会は47同友会合計で38名にとどまってはいますが、ヒアリングでは中小企業に与える影響が大きく、消費税税率アップに続き、倒産・廃業が加速される傾向にある中、制限された活動の中で先行き不安を訴える声も大きくなってきています。

今後の対応としては「企業存続の取り組み」「会員の声の集約と発信」「施策など情報提供」「緊急相談会」「要望提言の発信」「行事開催のガイドライン」「小グループ活動の奨励」などに力を入れていこうとする同友会が多く、「1人で悩まないで」と声かけあい、今こそ自社を見直し、同友会として中小企業の声を発信し、経営環境を変えていこうとの思いがあらわれています。

事務局も積極的な対応

事務局としての対応は「入口に消毒剤を置き、手指の殺菌・消毒奨励 」(42)「手洗いやうがい奨励」(39)「マスクの着用」(32)が上位ですが、首都圏や大都市圏では「時差出勤」(7)や「テレワーク」(5)に取り組むところもあります。個人的外出まで制限する同友会は2と少ないですが、出張や会合の参加制限をする同友会は19に上ります。

また、子どもの同伴、体調不良時の申告、事務局内の換気、除菌などに取り組む同友会もあります。

この調査結果を受けて、3月26日に開かれた中同協新型コロナウイルス対策本部では、会員や会を励ます会長談話や国への緊急政策要望・提言の第2弾を発表したり、緊急事態を乗り越えてきた経営者の報告などの動画配信を行うことを確認しました。

新型コロナウイルスが同友会運動に与える影響調査

目的:新型コロナウイルスが同友会運動に与える影響を調査し、運動課題を明確にする。また、課題を明確にしていく中で、全国の連帯で解決していく課題、中同協としての対応の方向性を見いだす。
調査期間:2020年3月13日~24日
回収状況:47同友会(対象:47同友会 回答率100%)

「中小企業家しんぶん」 2020年 4月 5日号より