活動を止めない! ウェブ会議で事務局間の情報交換の場を【全国事務局情報交換会】

 すべての都道府県に緊急事態宣言が発出された4月16日の翌日、中同協新型コロナウイルス対策本部では「今後の方針」を発表しました。その方針の柱の1つ目が「事務局間の情報交換の場づくり」となっており、「全国事務局情報交換会」が3回シリーズ((1)会活動、(2)事務局テレワーク、(3)政策要望・提言)で設定されました。ウェブ会議で行われた3回の様子を紹介します。今後、(4)金融問題(5月13日)(5)今後の活動(5月20日)が設定されています。

【第1回】活動を止めない、ウェブ・オンラインの利活用と情報発信を強化

 第1回全国事務局情報交換会が4月22日に「活動をどのように進めるか(例会、役員会など)」をテーマに開催され、31同友会および中同協から36名が参加しました。

 冒頭、小林敬2・長野同友会事務局長より5分報告がありました。小林氏からは、「会長談話の『1社もつぶさない』とのメッセージを受け、故大久保尚孝・北海道同友会専務理事の『激動をよき友に』という言葉が背景にあると思い浮かんだ。この事態の中で事務局長として会員の役に立つことは何か、そして何をすべきか考え、同友会の強みを出さないといけないと危機感を持った」と報告。また、ベテラン経営者の経験をFAXやe.doyu、動画で「コロナ情報」として発信したり、自社の対策や協力してほしいこと、協力できることを書き込む「新型コロナ対策シート」を作成しているなどの実践事例が紹介されました。その後、各同友会の活動の取り組みについて情報交換が行われました。各同友会の取り組みにおける情報交換では、ZOOMなどのウェブ会議システムの利活用が進んでいることや、同友会からの情報発信の重要性についての事例が多く語られました。

 静岡同友会では、顔の見える活動として代表理事と支部長の動画を配信するなどの取り組みやホームページもスマホ対応でわかりやすく刷新し会内外に発信する取り組みが紹介されました。大阪同友会では、活動を止めず、会員の情報を掴み情報発信することや予算としてコロナ対策費を組みZOOMアカウントをブロックや支部に渡して活動してもらうことなどの取り組み。香川同友会では、正副代表理事と事務局の会議を週1回実施し対応。絆を切ってはいけないと全15支部にZOOMアカウントを渡して小グループ活動を広めることや業種別グループを作って交流を進めていることが紹介されました。このようにZOOM等の利活用で、活動を止めずに工夫して進めていることがわかりました。

 また、京都同友会ではZOOMで例会を開催。支部を越えて参加があり100名近い参加の例会だったとあり、いかに発信して活動が止まっていないことを見えるようにしていくことや情報をLINEで配信し半数近くの会員に届けているなどの事例。鹿児島同友会でも、総会のZOOM開催で、役員会もほぼZOOMに移行し、例会もZOOMで開催し30名ほど参加し、顔を見て声を聴けて良かったなどの感想があったことなどの紹介があり、今後は週1回くらいペースで例会を開催することやコロナ対応特設ホームページも準備していることなどの報告がありました。

 そのほか、ITやオンラインに弱い人への対応や、今後の支援策などの情報発信の強化、例会などの活動を今後どう展開していくのかなど各同友会の事例をもとに活発な情報交換が行われました。

【第2回】事務局のテレワークへの対応

 第2回全国事務局情報交換会は「事務局のテレワークへの対応について」をテーマに、4月28日に開催され、27同友会および中同協から36名が参加しました。

 最初に多田直之・愛知同友会事務局長が5分の実践報告。

 会員数4,200名で23名の事務局組織。時差出勤・時短勤務から始まって、環境を整備しつつ局員の7割が在宅勤務であること、業務分担や情報共有が課題となっていることなどを報告しました。

 その後、各同友会から報告があり、「事務局を3グループにし、1グループは完全テレワーク。あとの2グループが交代勤務。出退勤の連絡や日報の共有をしている」(福岡)、「グループ制で交代勤務を実施」(兵庫)、「正副代表理事と事務局との意見交換を週1回実施」(香川)、「公共交通機関は使わず、車での通勤としている」(千葉)、「事務局のある建物が閉鎖となり、全員テレワークとしている」(長野)など、環境を整備しつつ、役員との連携もとれるよう創意工夫しています。

 一方で「ノートパソコンなどが人数分そろわない」「ウェブ会議での幹事会・例会が増えたが、従来通り夜間開催になっており、在宅勤務では参加しづらい」「テレワークで何をするか、業務の見直しも必要」など、環境整備の課題も出されていました。

 実際に会って会員や事務局間でのコミュニケーションがとりづらい中、コロナの影響の長期化が予想されており、テレワークを推進しつつ、電話やウェブ会議、チャット、SNSなどを活用し、会員や事務局員間の連絡が積極的にとれるように、取り組みを進めています。

【第3回】各種支援策・政策要望など交流

 第3回全国事務局情報交換会は、5月1日に開催され、19同友会および中同協から29名が参加しました。「各種支援策や政策要望提言について、および中同協第4次要望・提言について」をテーマに情報交換が行われました。

 冒頭、菊田哲・岩手同友会事務局長が報告。東日本大震災の時の経験を生かし、「1社もつぶさない、つぶさせない」のスローガンで戦略的に活動を進めている岩手同友会の取り組みを紹介しました。

 菊田氏は事務局として「施策の翻訳機能」を持つことの重要性を指摘。政府などの文書をわかりやすく説明し、会員企業が融資制度などの施策を活用しやすいように工夫をすることが大切であり、また効果があがっていると述べました。

 また新型コロナウイルス終息後の世界では、エネルギーシフト(ヴェンデ)が中心に来る、と強調。新しい時代に向けて「持続可能な世界をほんとうに実現できるかは今が正念場」と語りました。

 報告を受けて各同友会の取り組みを交流しました。参加者からは「県への政策要望を2回実施した。1回目はアンケートから独自で作成して提言し、2日目は経済6団体で要請を行った。会員への情報発信を頻繁に行うことを心掛けている」(埼玉)、「中同協の緊急要望を会員に送っているが、会員から感謝の声が来ており、大事な活動だと改めて認識している」(長野)、「情報発信に注力している。また県との懇談を行い、県からの情報なども発信している」(和歌山)、「県には中同協の第3次緊急要望とアンケート結果を届けて説明した。雇用調整助成金の申請の簡素化は進んではいるが、さらなる簡素化を求める声がある」(大分)など、取り組み状況などを交流しました。また中同協の第4次緊急要望・提言に向けて意見を交換しました。

「中小企業家しんぶん」 2020年 5月 15日号より