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【報告】新型コロナ第2次会員企業影響調査 急激な環境変化に資金対策と経営力強化で生き抜く

中同協は5月7~20日に新型コロナウイルスの中小企業への影響調査を実施し、27同友会3262社が回答しました(6月15日号で速報)。この調査は3月に実施した調査(4月8日発表、紙面では4月25日号で紹介)に続くものです。調査からは時間の経過とともにより多くの企業に影響が広がっている状況が浮き彫りになりました。

マイナスの影響「出ている」企業が15%増の57%

新型コロナウイルス感染症拡大による経営へのマイナスの影響が「出ている」と回答した企業割合が3月実施時から15%増の57%となりました。ただし、中長期も含めて何らかのマイナス影響があるとみる企業は前回同様9割となっており、3月の時点で「懸念される」と回答していた企業のマイナス影響が顕在化したものと考えられます。(図1)

急激な環境変化への対策は

具体的なマイナスの影響として「商談遅延」、「予約キャンセルによる売上減や損失」、「イベント・展示会の中止や延期」など、緊急事態宣言による自粛要請でのビジネスチャンスの減少が多く指摘されました。(図2)

また、その対策として「運転資金の借り入れ」や「緊急融資制度の活用」、「持続化給付金や雇用調整助成金の利用」など資金面で対策しながら、「新規受注の確保」、「生産・販売計画の見直し」など経営力強化対策を並行して進めていることが示されました。(図3)

売上減少企業増える

4月の前年同月対比の売上は58%の企業が「減少」と回答しました。3月調査と比較すると「ほぼ変わらない」と回答した企業割合の減少ポイントがそのまま「減少」に移行したとみられます。とりわけ3割以上減と回答した企業が11ポイント増(14%→25%)となり、時間とともに深刻な影響が広がっていることも予想され、懸念されるところです。(図4)

働き方の変化は

4月以降、約3割の企業でテレワークや時差出勤、時短勤務、交代勤務を実施(全社員・一部社員対象含む)、約1割の企業で実施を検討しています。(図5)

緊急事態宣言発動時に減給せずに社員の半数を在宅勤務、残る出勤日は時間短縮で対応した企業や、テレワークを加速化する機会として積極的に取り組むといった企業の取り組みも多く聞かれたほか、数年前から取り組んでいたため、業務体系に変化なしという企業もありました。

また、社員の不安を払拭するために会社の現状と方向性を共有する機会を意識的に設けたり、見えないストレスに対するカウンセリングを行うといった、安心して働ける環境づくりに尽力する事例もありました。

テレワークに「対応できる業種・業態でない」9割

一方で、「実施してない、実施できない」と約6割の企業が回答しました。その理由をたずねてみると、9割が「対応できる業種・業態でない」と指摘。

業種・業態で取り組みやすさに差があるだけでなく、階層的な取引関係といった産業構造など、中小企業のテレワーク推進には課題が多く山積しています。

テレワークを導入できる環境でなくても、子連れ出社可として新たにキッズスペースを確保したり、社内レイアウトを変更して感染予防対策を講じるなど、さまざまな工夫を重ねて乗り切る取り組みが、自由回答に多く寄せられました。(図6)

コロナ危機をどう生き抜くか

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、各国での生産や消費のバランスが著しく偏り混乱を極めています。日本経済においては昨年10月に消費税の増税の影響で景気に勢いがみられなくなった時期にコロナ危機が重なり、より深刻な経済的ダメージを受けています。

感染の収束には長期間の対応が必要となる中で、暮らしを守り地域を支える企業として生き抜くために求められるものは、本調査結果から次のように示されています。それは、資金確保と今後の収益確保などの体制整備、社員の雇用維持、新市場開拓などの経営力強化です。

自社の強みをどのように周囲に生かしていけるかを追求し新たなニーズを見出す企業の声が、地域に根差す中小企業の底力を物語っています。

激変した環境に柔軟に対応し、ビジネスチャンスをつかむ企業も

「企業の存続のために取り組もうとしていること、または取り組んだこと」として、寄せられた記述回答からは、激変した環境に柔軟に対応しながら社員の労働環境整備のきっかけとしたり、新たな顧客ニーズに気づき、自社の強みを生かした商品の開発など、将来に向け着実に歩を進める企業の声も多くありました。

また、従来の産業構造下での業務遂行の限界への指摘など、時代の変化の中で、地域を支える中小企業として存在しつづけるための条件を今一度問い直す機会ともなっています。(記述回答一部紹介)

感染対策、労働環境整備など

●テレワーク、SNSでの教育機会の確保、ウイルスバスター機器の導入(北海道/建設業)
●業務形態の変容を模索(富山/卸売・小売業)
●テレワーク(対外含む)体制をすでに5年以上継続しており業務体系に大きな変化はないが、今後予想される食糧不足・商品価格の高騰に対して敷地内に野菜作りをスタートした。水の自給は確立しており、今後は電源の確保に取り組んでいきたい(石川/情報通信業)
●テレワークは出張時の対策としてツールは備えてあったため、すぐに移行できた。しかしテレワーク時の管理・評価等に関する制度がないため全面的に広げることができていない。今後、労務・勤怠に関する制度の再構築の必要性を感じている(長野/サービス業)
●事務所を増床し、社員全員が安全な距離を保ちながら仕事ができるようにした。当分会社負担でお弁当を頼むことにし、感染機会の減少を図っている。全員テレワーク可能な環境整備を進めており、5月中旬には準備が完了予定(岐阜/サービス業)
●社員全員がストップしないように交代勤務に取り組み始めました(徳島/卸売・小売)

融資・補助金・補償など

●資金の手当て(政策金融公庫・セーフティネット)、技能向上への取り組み、雇用の維持(雇用調整助成金利用検討)、緊急事態使用の経営指針(社内ルール見直し)、緊急社員面談(大阪/製造業)
●融資・経営計画の見直しと再計画。再計画後の実務業務の検証および見直し。財務計画の維持。地域社会との連携、顧客とのコミュニケーション(大分/サービス業)
●BCP対策の一環として、銀行との当座貸越枠を余裕をもって設定していたことが現在の安心につながっています(愛知/製造業)
●ものづくり、持続化補助金など活用できる制度を使い設備の拡充を図り新規市場の参入を計画している(沖縄/卸売・小売業)

事業拡大、経営体質強化への取り組み

●オンラインショップの強化、昨年の7倍の売り上げ(北海道/製造業)
●受注が減少して稼働率が下がったことを利用し工場設備を更新し新たな受注に備えた(長野/建設業)
●4月は自社店舗休業、現時点ではEC(インターネット通販)に集中している。外出自粛だからこそ社内会議(ZOOM使用)を集中的にやり、今後の計画の見直しや戦略を立て、悲観的にならずに前向きに行動している(静岡/製造業)
●新型コロナウイルス対策として自社製造の商品(飛沫感染防止パーテーション)を開発。すぐに反応があり、Webを通じて県外から注文があった。社内外へ内容を発信し、技術や取り組みは今後も発信し続けるべきだと思った(宮崎/製造業)
●弁当、テイクアウトに取り組んでいます。思った以上に忙しく、お客様から応援の声をいただいたり同業者同士での取り組み等へのやりとりを含めて心遣いや気持ちを感じ、つながりが持てる喜びを感じました。従前の事業に固執し、新しい取り組みに及び腰だったのではと気づかされる部分もあり、よいきっかけになったと感じています(島根/飲食業)
●事業のあり方について根本から構築し直します、今度の新型コロナウイルス感染症によって永年積み上げてきた業態が崩されて、新たなる業態に取り組んでいます(福岡/流通・商業)

その他

●得意先が休まない限り、休業しづらい状況が業界内で蔓延している。テレワークにしても製造部門においては対応が難しい。現状仕事がない状況ではないが、1人の欠員も難しい製造現場、感染者が1人でも出た場合を想像するだけでも恐ろしい。サプライチェーンの源流側と下流側の違いで、できることが変わってくるという現状に気づいてほしい(岐阜/製造業)

回答企業の概要

回答 / 27道府県3262社が回答
業種別 / 建設業19%、製造業21%、流通商業17%、サービス業35%、その他8%
企業規模(従業員数) / 役員を含む正規従業員27人 臨時・パート・アルバイトの数12人
※集計結果は、集計条件に満たないものを除く

「中小企業家しんぶん」 2020年 7月 5日号より

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