コロナ禍の新設住宅着工戸数

 国土交通省建設経済統計調査室は、2020年6月30日に「建築着工統計調査報告」5月分を公表しました。コロナ禍における新設住宅着工戸数を見てみます。新設住宅着工戸数3月分は全体で7万729戸(前年同月比7.6%減)、4月分は6万9,162戸(同12.9%減)、5月分は6万3,682戸(同12.3%減)と11カ月連続で減少しています。

 5月分の状況を詳しく見てみると、持家では1万9,696戸(同20.7%減)10カ月連続で減少。貸家は2万4,040戸(同8.1%減)21カ月連続で減少。分譲住宅は1万9,602戸(同7.6%減)7カ月連続で減少しています。(表)

 地域別では、前年同月比で首都圏6.1%減、中部圏41.4%減、近畿圏1.2%減、その他地域で10.0%減となっています。中部圏のマンションが53.1%減となる一方、近畿圏のマンションで116.3%増、その他地域でもマンションが31.3%増と目立ちます。ただし、コロナ禍だけでなく、2019年10月の消費税増税の影響による減少傾向も見られます。

 (株)不動産経済研究所はマンション市場動向を発表していますが、首都圏のマンションは、5月分の発売で前年同月比82.2%減の393戸となり、コロナ禍で激減。過去最少の供給を更新しています。6月分は1,543戸発売で前年同月比31.7%減となりました。2020年上半期で見てみると、供給は44.2%減の7,497戸とコロナ禍で大幅減、上半期としては初めて1万戸を下回りました。

 近畿圏のマンションも5月分発売で84.6%減の214戸、1991年8月以来の低水準で、契約率も50%と大きく低迷しています。6月分は1,407戸発売で前年同月比6.2%減となっています。2020年上半期では前年同期比29.5%減の5,299戸となり1992年(4,430戸)以来の低水準であり、今後も建設業の動向は懸念される状況です。

「中小企業家しんぶん」 2020年 7月 25日号より