【九州豪雨災害】会員企業約90社が被災 同友会会員が支援

 7月3日から梅雨前線の停滞による豪雨(令和2年7月豪雨)は、熊本南部を流れる球磨川や北部九州の筑後川を氾濫させ、大きな被害をもたらし、福岡、熊本、大分の同友会であわせて会員企業90社が被災しました。福岡、熊本の同友会では会員企業の被害状況を集約しつつ、支援の取り組みを行っています。それぞれの様子を紹介します。

ボランティア不足と廃棄物処理が課題 被災地(人吉)の会員を訪問【熊本】

 熊本県南地域は、7月4日球磨川が氾濫するなど各地で土砂崩れや浸水が相次ぎ、死者65名(7月18日現在)と甚大な被害を受けました。

 熊本同友会では、7月5日に両代表理事が支援物資を持って人吉へ、8日には現地調査と見舞いを兼ね、事務局が人吉市の被災会員を訪問しました。

 人吉へ向かう一般道は土砂崩れなどにより通行止めで、高速道路で人吉に入りました。球磨川沿いの中心街は景色が一変し、大量の漂流物や流木、流された車両が散乱し、中には逆さまに壁に乗り上げた車両もありました。そういう光景の中で地元の人々を中心に片づけ作業が行われていました。また、地元高校生も住民と一緒に復旧作業をしていました。道路は警察車両や建設業者、ライフライン復旧業者の車両が頻繁に行き来していました。

 同市の会員13社中11社が被災する中、被災した10社を訪問。ほとんどは泥出しや什器備品の搬出が終わった程度で、廃棄物の処理やその先の復旧はめどが立っていませんでした。

 この災害に対して、熊本同友会は対策本部を立ち上げ、会員に対して7月4日当日にSNSを使って安否および状況確認のアンケートを実施。また、募金による支援と県内の会員ボランティアによる人的支援を行っています。

 すでに支援物資は確保されており、今後は支援金を集めて被災会員に対応する予定です。熊本同友会では「全国の皆様におかれましては、温かい励ましの言葉や災害支援物資をお送りいただき感謝申し上げます。今後は募金によるご支援をいただけましたら幸いです」と呼びかけています。

◆支援金口座(受付期間8月31日まで)
肥後銀行 学園大通支店 普通 2226307
熊本県中小企業家同友会 自然災害募金 代表理事 木村正夫

直接被害47社、SNS生かし大牟田会員が奮闘【福岡】

熊本に豪雨をもたらした梅雨前線で、7月6日から福岡など北部九州にも激しい雨が降り始めました。

特に、福岡県南部の大牟田市・久留米市などでは筑後川の氾濫により広範囲にわたり浸水しました。

福岡同友会では会員企業に連絡を取り、当該地域にある会員企業約300社中47社が社屋の床上浸水や自家用車の水没などの直接的な被害が出ていることがわかりました。また、社員の自宅など間接的な被害も含めると78社の被災が報告されています。(7月17日現在)

福岡同友会では29日の理事会で被災した会員に見舞金を送ることを決めました。

福岡同友会事務局では現地を訪問し、ここ数年県内では、大雨による被害を毎年のように受ける企業もあり、浸水は「前回はここまで」と壁のシミを示す会員もいました。

「毎年の教訓で被害を最小限にとどめた」事例も出ている一方で、コロナウイルスの影響も含め、「先行きが見えない」といった厳しい声も聞こえています。

このような状況の中で、いち早く動き出した会員がいます。大牟田支部の冨山博史氏((株)カンカングループ代表取締役副社長)は8日からSNS上に復興グループを立ち上げ、全国からの支援物資受付を開始。同友会会員企業のみならず、大牟田で支援物資が必要な人への配布をはじめました。

グループ立ち上げから5日で全国から1500名を超えるメンバーが所属するグループとなり、随時最新の情報をアップし、必要な支援物資の情報共有などを行いました。

また、何か少しでも手伝えることがないかと、支援物資の仕分けや近所への物資の配布など自分ができる範囲でボランティアを行う「ちょこボラ」もはじめるなど、地域の先頭に立って、大牟田市復興に向けて取り組んでいます。

「中小企業家しんぶん」 2020年 8月 5日号より