コロナ禍の自動車産業

 5月18日自動車産業の世界的な調査会社のJATO Japan Limitedは、世界中で新型コロナウイルスの感染拡大中であった2020年3月分の世界の自動車販売台数のレポートを発表しています。2020年3月の世界の自動車販売台数は、昨年同月比39%減となる555万台を記録。2008年11月の世界金融危機の時の25%減をも上回り、JATO Dynamicsが調査を始めた1980年以来、対前年比で最も大きな減少となったとあります。中国、アメリカ、欧州いずれも大幅な減少となり、最も大きな影響を受けた欧州では2020年3月は昨年同月比52%減となっています。2020年第14半期の世界販売台数は、昨年同期比26%減となる1,742万台となりました。

 8月12日に2020年6月の欧州新車販売台数速報を発表しており、欧州新車販売台数は24%減とありますが、徐々に回復しており、コロナ禍において特に電気自動車やSUVの人気が続いているとあります。最新の7月分の各国の販売台数では、前年同月比でブラジル28.4%減、ベトナム9.8%減、ドイツ5.4%減、カナダ4.9%減、インド3.9%減など減少も見られますが、一方で中国16.4%増、イギリス11.3%増、ロシア6.8%増と回復している国も見られます。

 日本の自動車販売の状況を見てみます。一般社団法人日本自動車販売協会連合会では新車・年別販売台数(登録車+軽自動車)を調査発表しています。消費増税の影響と思われる2019年10月前年同月比で75.1%となってから、販売台数の前年割れが続いています。緊急事態宣言下の2020年4月は71.4%、5月には55.1%まで落ち込んでいます。6月は77.1%、最新の7月は86.3%となり徐々に回復傾向となっていますが、コロナ禍の自動車産業への影響が今後も懸念されます(表)。

表 新車・年別販売台数(登録車+軽自動車)

「中小企業家しんぶん」 2020年 8月 25日号より