英知を結集してこの難局に取り組もう 会員企業の実態をヒアリング―コロナ対策の取り組み【北海道】

 北海道での新型コロナウイルス感染症は、1月28日に初めて感染者(旅行者)が確認されました。その後全国より早く感染者数が増え続けたため、2月28日には「新型コロナウイルス緊急事態宣言」が発表、3月19日までの期間、道内の全小中高校の臨時休校や不要不急の外出の自粛などが求められました。

 北海道同友会では2月25日に代表理事会を開き、新型コロナの影響に関する緊急調査を実施することとし、3月11日までに621件の回答が寄せられました。アンケートでは、「現時点で影響が出ている」「今後影響が出る可能性がある」の何らかの影響があると答えた企業は89%となりました。また、具体的には、展示会やイベントの中止・延期、来店数の減少による売上減少、予約キャンセルによる損失の発生などの回答が多く見受けられました。

 3月11日には、「新型コロナウイルスに負けないで~資金繰りの早期手当と、雇用・事業継続のために全力を尽くしましょう!」と題した文書を全道の会員に配信、(1)資金繰りの早期手当を、(2)休業への賃金助成、(3)相談は事務局への3つを呼びかけました。また、行政機関や金融機関、関係団体へは、(1)緊急資金繰り対策の強力かつ迅速な支援を~事業継続のために、(2)雇用調整助成金事務処理の迅速化とつなぎ融資の連動を~雇用を守るために、(3)中小企業の声を緊急施策に反映することを訴えた 「新型コロナウイルスに関する緊急要望・提言」を守和彦代表理事と事務局で訪問し、協力を要請しました。

 事務局では、緊急事態宣言の発表をきっかけに、会員への電話ヒアリングを開始しました。「3月、4月は学校関係の行事で忙しいが、今年はすべて中止になった」「北海道への旅行を取りやめるキャンセルが増えている」「商談があっても北海道から出かけられない」などの厳しい状況が、ヒアリングを進めるにつれわかってきました。

 一方、ヒアリングからいくつかの課題や要望もわかってきました。1つは国の施策の認知が広がっていないこと、施策の利活用のための手続きが複雑で難しいこと、そしてほかの会員の取り組みや様子が知りたい、ということでした。

 ヒアリングの声を受けて、まずは3月25・26日の両日に、急きょ導入したウェブ会議システム「ZOOM」で全道の会員をつなぎ、北海道経済産業局や北海道労働局の担当者、北海道よろず支援拠点や会員の専門家を招いて緊急説明会を開催。3月19日からは、「コロナ対策NEWS」(現在第18号)とした、施策の説明や対策のポイント、役員の激励メッセージ、コロナ禍での会員の取り組みなどを毎週、多いときは週2回発行してきました。

 また、当初は3月中は緊急事態の余波を受けてほとんど活動ができずにいましたが、ウェブ会議の準備ができたことと、予防措置と防疫体制が整ってきたことから、「活動を止めない」を一段と進め、リアル参加とZOOMとを併用した例会・セミナー・懇談会が全道各地に広がりました。手軽に会社や自宅から参加できるということもあって、遠方でなかなか参加できなかった会員も初めて同友会の会合に参加したという事例も多く聞かれました。

 ヒアリングは6月末で70%となり、7月からは役員や事務局員、あるいは両者での会員訪問を中心にシフトし、さらに取り組みを進めています。

 今回の新型コロナのヒアリングは、コロナ禍の会員企業のリアルな実態を活動に直接反映できたこと、役員も事務局も会員の困りごとに力を合わせて支援できたこと、そして事務局員が経営課題に一歩踏み込んで聞き取る大切さを身をもって気づかされました。厳しい中にあっても「声をかけてくれてありがとう」と言ってくれた会員経営者のやさしさが、英知を結集してこの難局に取り組もうという同友会の力になっています。

「中小企業家しんぶん」 2020年 9月 15日号より