大学・行政・学生とともに地域を育てる活動を【鹿児島】

鹿児島同友会共同求人委員長 森 聡二郎氏

鹿児島同友会設立から共同求人委員会は設置され、当初から合説や勉強会を設けており、教育機関からも高い評価を受けマスコミからも取材を受けていました。合説は毎年開催していますが、参加する学生数、企業数は減ってきています。参加学生数は844名をピークにいまは60名程度、参加企業数も32社から18社前後に落ち込んでいます。

取り組みとして3つお話します。1つ目は、「大学と」です。いかに単位が絡む授業の中で学生と経営者が触れ合う機会を作るかということに焦点を置いて活動してきました。経営者と語る会を授業に取り入れたり、実際の中小企業経営者がどのように事業に取り組んでいるかを伝える中小企業論や、地域の産業がなぜその土地でその商品が日本一になっているのかを紐解く地域総合論を展開し、地域に興味を持ってもらう取り組みをリアルとオンラインで行っています。

2つ目は「官と」です。若者就職サポートセンター「キャッチワークかごしま」に行き、業界研究や働くことについて考えるワークショップを高校生と一緒にすることで、地域の担い手の育成の場を作ってきました。行政を巻き込むことで活動の幅を広げています。

3つめは「学生と」です。学生と出会う場を増やし、多くの学生団体ともやり取りができるようになってきました。昨年行った合説は、やり方から学生に考えてもらいました。各学生団体が企画を持ち寄ってコンペをし、「ラブレター就活」という企画を、学生の企画・運営のもと同友会主催で行いました。われわれが考えないような内容で、楽しみながら企業と学生が交流する場ができたと思います。学生と直接交流する関係性づくりをすることで新しい領域づくりを広めてきました。

最近になって初めて会員外からの問い合わせも出てきています。同友会の理念などをわかっている方たちではないので、共同求人活動申し合わせ事項にも賛同してもらい、その上で仲間として増やしていきたいと思っています。

次に自社の報告です。5年前に現在の会社をM&Aすることになり、見ず知らずの土地で出会ったことのない社員の社長となりましたが、社員の不安も大きかったと思います。社内でミーティングをし、平等と公平という概念でルールを作りました。公平は納得感のある不平等です。納得感が必要不可欠になります。経費を使うことを一切禁止し、鍵の運用なども納得感の得られるような内容でルールを整えました。経営者と社員の違いは、すべての最終決定権があることと、全ての責任を負うことの2点だと思います。それ以外には社員との差をつくる必要はないと思いますので、社長が特別にならないようなつくりこみをしてきました。

採用活動力を鍛えて採用力を強化しています。1点目はお金と時間をどれだけかけられているか、2点目はどれだけ露出して認知度を高められているか、3点目は実際の運用や面接スキルを高められているかです。語る会やインターンなどで鍛えながら採用実務力を高めています。

最後に、求人活動は単なる人採りではなく、自ら事業をして地域を育てる活動だと思っています。その地域で事業をさせてもらっているのであれば、会社の状態に関わらず採用をするべきで、そういった経営者を増やしていきたいと思っています。

「中小企業家しんぶん」 2021年 3月 5日号より